2022年08月17日
「竹八漬本舗」竹下 八十さん
(株)竹八
代表取締役
竹下 八十さん
竹八漬の隠れた逸品『奈良漬け』
さがファン限定500g40コ、ついに発売!
毎日続く酷暑にコロナ第7波…と例年に比べかなり厳しい今夏。おうちショッピングの方も多いのでは?夏真っ盛りの時期に訪ねたのは、佐賀市南部・川副町で90年間のれんを守り続ける『竹八漬本舗』さんだ。直営店舗の「えきマチ1丁目」の名接客スタッフに今まで取材してきたが、今回のインタビューには6年半ぶりに3代目の竹下社長が登場!老舗の雰囲気抜群の本店に初めて足を踏み入れると、人気商品『奈良漬け』発送作業の真っただ中。実際に作業風景を拝見しながら、この数年の移り変わりについて、じっくりお話を伺った。『さがファン』限定で、嬉しい特典もいただいたのでお楽しみに!
Q・お久しぶりですね。最初に伺ったのは2007年、『さがファン』が出来て間もなくのことでした。2011年の訪問では「来年80周年ですね」とお話したのを覚えています。
A・それが今年90周年ですよ!もうビックリですよね。老舗ですし、昔からほとんど変わらないロケーションの中、漬物をつくっているので、違和感がないように思われるでしょう。でも、漬物業界では急激でなくともじわじわと変化を余儀なくされています。もちろん、コロナになってからは売り上げが激減、どの食品加工会社も大きなダメージを受けていますが、なんとか今、踏ん張っています。
Q・はい。昔ながらの町並みには懐かしい気持ちになりました。個人的に『竹八漬本舗』さんのファンなので、取材の帰りは駅に寄りますが、前回の取材はコロナ前なんですよね。
A・今は試食ができないので苦戦していますよ。やはり近年のさが食ブームや発酵ブームで全国の人々に佐賀の特産品が知られるようになっても、粕漬だけは実際食べてみないとイメージがわかないようで。たまに一度に何キロも購入されるお客様がいらっしゃるんですが、後で「口に合わなかった、返品できないか」という連絡をいただくことがあります。結局、買った商品は捨てることになってしまって…。また、食べ方を説明したのにも関わらず、「お酒の匂いがキツイので、粕を洗って取り除いて食べた」という意見もあります。
Q・それは悲しいですね…。フードロスになるし、時代に逆行していますよね。全国に多くの漬物がある中、海産物を利用した粕漬は佐賀の特産品で、古くから続く家庭の味です。
A・だからこそ、外に出ていくのがなかなか難しいんだと思います。元々が家庭の味なので、食べ慣れないと続かないですから。だからこそ、時にライバル、時に仲間として、佐賀の漬物会社は手を取り合って頑張っているんですよ。我々、有明海では6社、クジラの軟骨を粕漬にした、玄界灘の「松浦漬」が唐津に2社、それから鹿島の方にも漬物会社があると聞いています。どの会社も時代やコロナの危機にあってもたたむことなく、今、県内では少なくとも8社が確実に古くからののれんを守っています。
Q・ご当地にとっての漬物は、家庭の味ですが、他地域の人たちにとっては“珍味”になりますよね。最初「がに漬」を食べた時は驚きました。「がに漬」も『貝柱』や『海茸』の粕漬も私にとっては“お酒”のお供ですが、この頃姿を見なくなりました。
A・「がに漬」がスーパーや土産店の棚からなくなってから久しいですね。うちも今は量がないので売り出してはいません。昔は1瓶500円ぐらいでしたが、今は倍以上の値段になっていますよ。またリアルな話、漁師さんの高齢化が進んで、原料となるカニ・シオマネキ漁や加工が出来なくなってきているんです。もちろん貝柱も海茸もそうです。だから現在は輸入に頼ることが多く、もし「がに漬」で国産のものを見つけたら、レアものですよ。以前から原料不足ではありましたが、現在は漁師、後継者不足が目下の課題です。
Q・現在は『竹八漬本舗』さんの人気の逸品『奈良漬け』の出荷作業の真っ最中ですね。作業場がなんともいえないいい香りに包まれています。奈良漬けは奈良地方の漬物ですが、創業者のおじいさまの代から作られているんですよね。
A・原料が野菜というだけで、粕漬なのは変わりませんからね(笑)。でもうちならではの『奈良漬け』づくりを追求していった結果、この10年ぐらいでヒット商品になり、一度購入されたお客様はほぼリピーターになってくださっています。大和町の農家さんと提携して、瓜を5月中旬から6月にかけて収穫するんですが、今年は暑くて雨が少ないので量が少なかったんです。また雨が多いと根腐れしてしまうので、瓜の生産って難しいんですよ。でも露地栽培のみで育てた高品質な白瓜にこだわっています。白瓜はやわらかくてほんのり甘いのが特徴で、固さが特徴のシマウリは多久地方の漬物として有名ですよ。だから毎年瓜の量に合わせて、完全予約販売(1㎏100個限定)を行っています。第一弾は8月のお盆前に出荷するので、今、作業しながら取材を受けているんですよ(笑)。
Q・『奈良漬け』、おいしいですよね~。『竹八漬本舗』さんの奈良漬けは他とどう違うんですか?
A・まず、添加物を一切使っていません。酒粕に塩と砂糖、この3つのみで漬けています。現在、すべての原料の価格が高騰しているのでなかなか厳しいですが、無添加だけは譲れません。また砂糖の代わりに格安で済む甘味料を入れてもいいんですが、それだと、『奈良漬け』特有のテカリやシワが出ないんですよ。うちは三温糖を使って、独特の甘さを出しています。防腐剤を使っていないので賞味期限は短いですが、美味しさは保証します!
Q・実際、奈良漬けの出荷前の作業を今、見ていますが、その前に長い作業時間があったのでしょうね。
A・そうなんですよ。まず、5月に瓜を収穫してから、樽に瓜を入れて酒粕と塩で漬けます。1カ月も経つと、100キロの瓜が酒粕に漬けることで水分が吸われて、半分以下の40~50キロに縮んでしまうんですよ。それから、砂糖、粕、砂糖、粕、とミルフィーユのように6~7段に重ねて漬けていきます。最終的には30キロほどに縮むんです。そして8月から出荷作業に入りお盆前後には予約していたお客様にお届けします。
Q・手がかかっているんですね~。(スタッフ試食)、う~ん、これは美味しい!瓜が柔らかくて、ほのかに甘さが広がります。やさしい味ですね。よくスーパーで売っている奈良漬けのようにしょっぱくなく、お酒のお供にはもちろん、白ご飯に合いそう!食べ出したらポリポリ止まりません(笑)。これは、ぜひみなさんにオススメしたい!!
A・美味しいでしょう!食べる時、粕は捨てないでくださいね。ビニールに入れて出荷しますが、なるべく空気を入れず冷蔵庫に入れて1カ月以内に食べてください。今回は、この美味しさをぜひ『さがファン』のみなさんに食べていただきたいと思っているんです。
Q・待ってました~!!今まで何度か『奈良漬け』のお話を聞いていましたが、なかなかネット販売できませんでした。これはチャンスですね!!
A・販売数が少なくて申し訳ありませんが、『500g入り40コ限定』で、9月1日からココさがファンで限定販売します!(9月5日から順次発送します)ぜひこの機会に自慢の『奈良漬け』をお試しください!
Q・完全予約限定販売で打ち切ったはずなので、これはうれしいお知らせです!みなさんぜひ、この機会に『竹八漬本舗』の『奈良漬け』をお求めください!ほんと、他の奈良漬けとは違いますよ!
A・『奈良漬け』をきっかけに、定番の『海茸粕漬』、『貝柱粕漬』などをお好きになっていただけると嬉しいですね。また、贈り物に『竹八漬キューブ詰合せ』もオススメです。実店舗ではばら売り(1個50g・360円)もしていますので、佐賀、九州にお住まいの方はぜひ、佐賀駅構内の「えきマチ1丁目」店にもお寄りください。
Q・コロナ禍でいろいろご苦労も続いていると思います。価格の高騰なども懸念されるところですが、佐賀が誇る特産品・粕漬けは決してなくならないものだと思っています。
A・はい。その通りです。コロナ禍を経て私が感じているのは「酒粕漬けは“売れる・売れない商品”じゃなくて“他にない商品”なんです。つまり、“酒粕漬けは佐賀の文化そのもの”。多くの人々に良さをわかってほしい、と催事に出店したり、いろいろPRの方法も考えたりして、実行してきました。今は「本当に美味しいと思ってくれ、価値の分かってくれる人に確実に届けたい」という思いです。
人の食の嗜好は変わっていくといいます。若い頃は「酒粕漬けなんて…」と言っていた人が今は「うまか~!子供のころよう食卓に出よったばってん、こげんうまかったと知らんかった」と新たにリピーターになってくださる方も多いんですよ。また、お年寄りのお客様が外へ買いに出かけられなくなり、お孫さんが代わりに買って帰り、「これたい、この味たい!もうこの味があれば死ぬまでなんもいらん」と涙したというお話もお客様から聞きました。90年続いた『竹八漬』にはさまざまなストーリーがあります。私はこのストーリーをこれからも紡いでいきたい。その一心で、本物の価値をみなさんに届けられるよう、これまで以上に頑張っていきたいと思っています!
★500g40コ限定!添加物一切なし、通常完全予約限定販売の『竹八漬の奈良漬け』注文はコチラから!
丁寧に時間をかけ、酒粕と塩・砂糖のみで漬けた、無添加の『奈良漬け』。毎年6月には予約で完売してしまう逸品だ。柔らかくやさしい甘みのある味わいをぜひ
コロナ禍で売り上げが激減したところ、ギフト詰合せを佐賀ならではのパッケージに包み、販売したところ好評を得たという。「佐賀の土産というとお菓子には勝てないが、その次に手が伸びてくれれば」と竹下社長。オシャレでかわいらしい『キューブ』は、2013年、おみやげ業界でも先駆けて販売した『竹八漬本舗』の代表的な商品
本社近くにある、川副町の本店。昔から変わらない町並みに現れる、白壁やなまこ壁の建物に時が止まったような感覚を覚える
すりガラスの引き戸を開けると、旅館のお土産屋さんのような上品な売り場コーナーが。その奥には広い作業場が広がり、ここで毎年大好評の「大創業祭」が開催されている
佐賀駅構内にある「えきマチ1丁目佐賀」。『竹八漬本舗』の唯一の直売店には、メインの粕漬けをはじめ、あらゆる珍味、漬物がズラリと並ぶ。現在はコロナの影響で試食ができないが、店舗限定のおトク商品もあるのでぜひ足を運んでみてほしい