店主訪問記

2020年03月11日

「竹八漬本舗」竹下 優子さん

店主
竹八漬本舗
えきマチ1丁目店
竹下 優子さん

漬物は地方の食文化です!
“佐賀=粕漬け”ってご存知でしたか?

 若者の味噌汁離れの話はよく話題になるが、漬物離れも同様。インバウンドの影響もあるが、実は日本のツケモノは海外ではウケていると聞く。ちなみに英語で漬物とは=ピクルス。漬物は日本各地によって個性がある。そして家庭でつくられるものという前提がある。では佐賀の漬物は…?そう、酒粕の漬け物なのである。しかしこの認識が近年薄まっている。なかなか県外でお目にかかれない代物となりつつあるからだ。そこで佐賀の特産物がひしめく佐賀駅構内の「えきマチ1丁目」の『竹八漬』さんの直営店にオジャマした。

Q・1年半ちょっとぶりですね。その間、佐賀駅に来るたびお店に寄っておみやげ買っていたんですけど…ついぞ、竹下さんには出会えませんでしたよ?
A・あら~。私も川副町の工場と佐賀駅の店舗を行ったり来たりしているもので…。『竹八漬』は相変わらず、少数精鋭で日々、酒粕という生き物と向き合って漬物をつくりつづけています。60代~70代のベテラン職人にまじって、私もできることを手伝ったりしているんですよ。

Q・やはり、まだ工場に入ると香りで酔っぱらうんですか(笑)?お酒が苦手でしたよね。
A・これが、克服しつつあるんですよ!本社時代も含め、今年で『竹八漬』歴も18年目となりますが、不思議なことに全国的に有名な『奈良漬け』と同じですね。独特の酒粕の香りに慣れてきました。『竹八漬』の人気商品のひとつ、『奈良漬け』は、6月に瓜がとれたら、私も工場で毎日、瓜をカットし、種を出して、塩漬けをする、の作業の繰り返しです。こうやって人気商品ができていくのだな、と思ったら苦手意識が消えていくんですよ!今、『奈良漬け』は在庫を切らしていまして…ファンの方には申し訳ない限りです…。

Q・今回は、酒粕漬けが「佐賀の漬物だ!」「佐賀の食文化だ!」と改めてPRしたくてお訪ねしました。
A・ありがとうございます。外から佐賀を見ないとわからないのかもしれませんね。私も多分、お酒が苦手だからこそ、自分なりにどうやってPRすればいいかを考えることも多かったんですね。だからこそ、今店頭に立っていられるんだと思います。
酒粕漬けは全国にも多々あります。しかし、佐賀ならではの粕漬けは独特で、全国的には唐津の松浦漬さんが有名ですよね。『さがファン』をご利用の方はご存知だとは思いますが、佐賀には荒々しい外海、玄界灘と、穏やかで独特な生態系を育んできた有明海があります。加えて米どころでしたから、今、全国、いや世界で話題になっている、日本酒という大きな特産品があります。よって、お酒づくりから出る酒粕を使った漬物づくりが古く、江戸時代から行われてきたのは必然だったと思います。

Q・ウミタケなどの貝類、貝柱を粕漬にしたのが始まりですよね。またクジラ漁で盛んな唐津方面の玄海灘では、クジラのナンコツを粕漬にしたんですよね。
A・そうですね。一般的に「松浦漬」とか「玄海漬」とかいわれる商品は、玄海灘地域の特産品で、クジラのナンコツを酒粕に漬けた漬物です。

Q・現在は同じ佐賀県でも、佐賀と唐津ではもともと違う藩でしたからね。文化も経済も言葉も、人々の気質も少々異なりますよね。これって今でも言われていることで…。
A・私ども『竹八漬』も今年創業88周年になりますからね。佐賀の海といえば、有明海という場で成長してきました。でも、気付かれました?今、店頭に「松浦漬」「玄海漬」の缶詰が並んでいるでしょう?もう佐賀全体で酒粕漬け文化をPRしていかなきゃという考えで、玄海灘の商品も置くことにしたんですよ。

Q・おお~。手を取り合って盛り上げていくということですね。やっぱり、酒粕漬けは若者に受け入れられないのでしょうか…?おっと、『クリームチーズ大吟醸粕漬』なるものを発見!
A・やはり、そこに来ましたか(笑)。オシャレでしょ、このパッケージ。『クリームチーズ大吟醸粕漬』はオーストリア産のクリームチーズを、日本酒の中でも一番香りの高い大吟醸の酒粕で一枚、一枚、丁寧に付け込んだ商品なんです。うちのオリジナルではありませんが、伝統の粕漬を現代風にアレンジしたもので、若い人に興味を持ってほしいという一心で今、イチオシでPRしているんですよ。

Q・(特別に試食…)、う~ん!これは赤ワインに合いそう!そもそも、酒粕漬けもクリーミーでチーズもクリーミー。しかも発酵に次ぐ発酵…絶対売れますよ!
A・ヘルシー志向で現代にマッチしていていいですよね!発酵ブームですし。うちのお客様はやはり60歳以上がほとんどで…。前も言いましたが、若い方は佐賀県内でも酒粕漬けに触れることがないですね。店頭にいらっしゃるお客様もネット通販『さがファン』で注文されるお客様も、ご両親に頼まれて…というお客様が多いんです。

Q・これからはPRの方法が課題になってくるでしょうね。やっぱり、一度食べないとわからないと思うんですよ。いくら文字や画像でPRしても…。
A・そうですよね。だから店頭での試食を毎日コツコツと続けています。できれば、ホテルや居酒屋のレストランメニューに加えていただくようにしたり、『クリームチーズ大吟醸粕漬』をメインにすえたイベントを展開し、『竹八漬キューブ』などを若い世代をターゲットにしたり…とにかく伝統を引き継いでいくべき若者にPRしていく仕掛けが今後は必要だと思っています。

Q・そうですね。私ももどかしいです!(※さがファンスタッフ、全員左党)こんなにお酒に合うアテがあるのかと最初は驚きました。
A・佐賀の年配者は、お酒のアテというより、ごはんのおともという方が多いんですよ。 だから、お酒が苦手な方にもPRできる要素も持っています。あとはシチュエーションですよね。ワインに合わせて、とかこういった料理に合わせて…など、私たちも頭を柔らかくして、PR方法を考えていきたいですね。

Q・料理に使ってもいいですしね。西京焼とか全国区ですし。
A・『魚粕漬(さわら紅さけ)』からスタートしてもいいかもですね。その際は焼く時に気を付けてくださいね。粕漬けの魚はすぐ焦げて、酒粕の味が飛んでしまうので、ホットプレートを使うといいですよ。

Q・『竹八漬』さんは今年創業88周年ですよね。これだけ歴史があるのに、知名度、認知度が…。今年はバーンといきましょうよ。
A・実は長い歴史があるのに、佐賀の酒粕漬けは知名度がまだ低いんですよね。佐賀土産にいただいたのはいいけれど、食べ方がわからず水で酒粕自体を全部洗ってしまった、という話も聞いたことがあるんです。あと、やはり量が多くて腐らせてしまうなど…。悲しくなってしまいます。

Q・もったいない…もったいなさすぎる!(さがファンスタッフ一同)『竹八漬』は佐賀の食文化そのものですよ。どんどんPRしていきましょう!
A・そうですね!まずは県内にいらっしゃる方、出張で佐賀にいらした方に試食をコツコツ試食を勧めています。コリコリッとした食感で甘辛い酒粕に漬けた『海茸粕漬』が人気で私としてもイチオシですね。県外や初心者の方には『貝柱粕漬』が好まれる傾向にあります。たいらぎ貝がモッチリとやわらかく、甘めの酒粕とからんで、海茸よりもソフトな味わいなんです。

Q・(またもや試食…)。う~ん、やっぱり『海茸粕漬』のコリコリ感がたまりません!
A・そうでしょう!やはり、王道ですよ、海茸は!佐賀県内の方だけのご案内になってしまいますが、ちょっとしたキャンペーンを3月13日(木)~3月22日(日)まで開催します!『竹八漬3種袋詰合せ(貝柱110g、海茸110g、はがくれ150g)』1,404円のところ1,296円でご提供とお安くなりますので、県内の方や佐賀駅をご利用予定の方はぜひ、お店にお立ち寄りください!


店舗店舗
明るく開放的な雰囲気の、佐賀駅構内にある「えきマチ1丁目佐賀」。『竹八漬本舗』の唯一の直売店には、メインの粕漬けをはじめ、あらゆる珍味、漬物がズラリと並ぶ

クリームチーズ大吟醸粕漬クリームチーズ大吟醸粕漬
直売店イチオシの『クリームチーズ大吟醸粕漬』(648円)は、酒粕に苦手意識を持つ方のイメージをくつがえすNEW FACE!ぜひ試していただきたい

試食試食
店頭では試食ができるのがうれしい。竹下さんや熟練のスタッフたちが、好みにピッタリ合った商品をすすめてくれる

キューブキューブ
すっかり『竹八漬』の顔となったキューブ。『さがファン』では9種詰合せのみの提供だが、直売店では1つから購入可能。お値段も300円代と手ごろで、パッケージもかわいい。

竹八漬竹八漬
佐賀くらべ日本酒粕漬はかり売り
むつごろう蒲焼の甘露煮・はがくれ漬あみ漬・塩辛
工場直送のフレッシュな粕漬の数々をはじめ、『むつごろう蒲焼の甘露煮』『あみ漬』など有明海の恵みたちが並ぶ。『いか塩辛』『たこ明太子』などお酒のおつまみにピッタリな商品も手ごろな価格でズラリ。もちろん今、全国的なさがん酒も「佐賀くらべ」という飲み切りサイズ(180ml・510円)で販売中

工程1工程2
酒粕は生き物。自社地下タンクで酒粕を熟成させ、その後素材と合わせ漬け込む。季節によって酒粕の熟成期間は1カ月~約3カ月と変わるが、常に安定した味を供給している。良い酒粕は最初白色をしていて、ピンク色へ変わる。ダメな酒粕は赤くなり、やがて黒っぽくなる。店舗には工場から毎朝酒粕が運ばれ、新鮮な商品を手に入れることができる

本社工場
川副町にある、地下タンクのある工場併設の本社。ここで銘酒酒粕を80余年の経験と熟練の技で発酵させた酒粕が生まれ、珍味粕漬けとして全国の食卓へと運ばれていく

>> 「竹八漬本舗」の商品はこちらからご購入いただけます。

取材:森泉敦子

  


Posted by さがファンショッピング  at 14:39Comments(0)竹八漬