店主訪問記

2018年10月03日

「白山文雅」鶴田 龍磨さん

白山文雅 鶴田 龍麿さん
白山文雅
店長
鶴田 龍磨(りょうま)さん

今年で60周年。本格的に全国進出!
カレー伝道者、佐賀を飛び出し国内行脚中。

 “欧風カレーの聖地”として、全国からカレーファン、一流料理人が日々、佐賀に訪れるようになった『白山文雅』。今年60周年という大きな節目を迎え、新たなるチャレンジの時を迎えたようだ。それは全国進出。先代の味を引き継ぎ2016年の春、三瀬村に姉妹店『白山舎』をオープンさせたオーナーシェフの上野茂和さん。ひたすら美味しいカレーを追求する上野さんのこだわりは、ここでもずっと紹介し続けてきた。そんな彼が新しいバトンを渡したのは、本店店長の鶴田龍磨さんだ。鶴田さんのミッションは老舗の看板を守りながら、全国に文雅の味を広めること。その新しい取り組みを聞きに、久しぶりに本店の扉を叩いた。


Q・鶴田さんは25歳という若さで店長なんて、大抜擢ですね。
A・毎日がプレッシャーですが、創業60年の店の店長を務めることを大変光栄に思っています。私は元々食に興味があって、もちろん『白山文雅』の存在は知っていましたが、学生が行けるようなお店ではありません。高校生の時食べ歩きが趣味の父に連れられ、初めてカレーを食べた時の美味しさに衝撃を受けたことを良く覚えています。

Q・その時は上野さんのカレーを食べられたわけですね。どうして文雅に入社しようと思われたんですか?
A・将来は…といっても祖父ぐらいの歳になったら喫茶店をしたいなと漠然と夢を描いていたんですが、高校卒業当時は写真館に勤めていたんです。ある日道端でバッタリ出会ったのが、上野オーナーで文雅のオーナーシェフだとは知らず、私と同じバイク(ベスパ)に乗っていたので、珍しいと思いこちらから声をかけたんですね。それから休日は一緒に美味しいもの巡りのツーリングに行くような仲になりました。

Q・鶴田さんが上野さんを街でナンパしたというわけですね。その後、文雅にスカウトされたと?
A・そうです。仲良くしているうちに言いくるめられまして(笑)…冗談です。上野オーナーのカレーへの熱い思いに感動し、写真館を退社してバイトからスタートしました。厨房・ホールのバイトを経た後、社員となり店長になりました。出会いとは面白いものですね。最初はレシピを覚えるのが大変でしたが、厨房を預かっている先輩2人のおかげで徐々に仕事を覚えていき、文雅のカレーのコアとなる味付けをオーナーチェックのもと、今学んでいる真っ最中です。

Q・お客様は鶴田さんのおじい様ぐらいの方も多いでしょう。でも鶴田さんはとてもお客様にかわいがられそうですね。
A・お客様の懐の深さにはただ感謝するばかりです。常連のお客様の中には社会的地位の高い方も多いですし、それこそ50年前に初めてのデートで食事にいらしたという高齢のご夫妻もいらっしゃいます。文雅が築いた60年を裏切ることは決して許されませんし、食事の味以外にも接客や空間づくりも大切な務め。かわいがっていただけるからといって、甘えることをせず、お客様に特別なひと時を過ごしていただくように努めています。

Q・今年から全国の百貨店等で行う食のイベントに積極的に参加するようになったそうですね。その顔を務めるのが鶴田さんなんですよね。
A・そうなんです。実は月に10日間は出張で全国あちこちに出ているんですよ。私は人と話すことが大好きなので、楽しくやりがいがありますね。以前は人手が足りず、お誘いはあっても催事には参加できなかったんです。転機は2年前、2016年の11月に福岡の岩田屋本店で北九州、佐賀、長崎の食品を集めた催事でした。缶詰の『先人が愛したビーフカレー』をお披露目する為でしたが、これが大反響でして。それまでネット通販で真空パックの商品を買ってくださっていたお客様が、直接買いに来てくださったり、初日に試食で気に入ってくださった方が、最終日にまたいらっしゃって買ってくださったり…途中で仕込みが追い付かない状態になって、スタッフ一同嬉しい悲鳴をあげていました。真空パックと缶詰を含めて1日250食を売り上げたのは想像以上でした。

Q・今まではカレー好きな方が、全国から佐賀にいらっしゃるという態勢でしたが、本格的に佐賀から全国へ出て行こうという姿勢になったのですね。
A・創業60周年を機に新しいことにチャレンジしよう、という思いがありました。また、『白山舎』の厨房が広いので、今までより仕込みも大量にできるようになったという理由もあります。しかし最初は右往左往していましたが、周りのブースの皆さんからとても親切にアドバイスをいただき、助かったことがたくさんありました。また全国各地で顔見知りの方々も増え、情報も多く入ってくるようになったんです。店を飛び出さないと得られない貴重な情報も多いので、常に新商品開発に勤めているオーナーシェフや本店で厨房を預かる先輩やホールのスタッフたちにフィードバックしています。

Q・やはり、地方によってお客様の反応は違いますか?
A・特に東京は違いますね。文雅のカレーは佐賀では価格が高い方ですが、東京では通常価格かお安い方です。ですので「もっと価格を上げた方がいいんじゃないか?」とお言葉をいただくことも多いんですよ。通常、催事は数日間行うのですが、1日目の反応と最終日の反応が違うなど、ダイレクトにお客様の反応が見られ、売り上げという数字に反映されるので面白いですね。大体1日目に来ていただいたお客様が家に帰ってカレーを召し上がり、美味しかったので最終日に1日目よりも多く商品を買っていただくという流れも多いんです。佐賀に戻っても、「今度はいつ催事をやるのか?」といったお電話や、ご年輩の方から「美味しかったからまたぜひ来てほしい」というお手紙をいただくこともあり、感動するとともに驚いています。あと面白いこともあったんです。東京でのカレーフェアに参加した時に、カレー研究家の水野仁輔さんがいらっしゃったんですよ。私は水野さんの大ファンで、興奮してサインをいただきにいったんです。そうしたら水野さん、「先日、佐賀の本店に行きましたよ」とおっしゃっていて、ビックリしました。私は東京にいて、オーナーも三瀬にいたので誰も気づかなかったようです。東京では有名な俳優さんとか、驚くような方が催事にいらっしゃることが多いですね。

Q・へえー!しかし、鶴田さんが全国を飛び回っている間はお店が寂しくなりますね。
A・そう言っていただけると、本当にありがたいですね。また心苦しくもあります。常連のお客様がお店にいらっしゃっても私がいないことも多く、うまくバランスをとってやっていけたらな、と思っています。常連のお客様とはお電話でお話することもあり、「鶴田くんがおらん間はこげんやったよ」と情報をいただくこともあるんですよ(笑)。

Q・すごいですね~。その笑顔がお客様をとりこにしているんでしょうね。鶴田さんはすっかり『白山文雅』の顔ですね!
A・いやいや、全然まだまだですよ。文雅にいらっしゃり、文雅のカレーを支持してくださるお客様すべてにご満足いただかないと。上野オーナーのつくるカレーの味は、お召し上がりになった方すべてに満足はしていただいていると思うんです。でもつくる人が見えないと、と思うんですよ。

Q・上野さんがカレー求道者なら、鶴田さんはカレー伝道者というわけですね。
A・目指していきます!上野オーナーは直接お客様と接することはないので、私が彼の思いを伝えていきたいと思っています。オーナーシェフとはツーリング時代、全国のあちこちに旅して美味しいものを食べてきました。それからというもの、私10キロ以上も太ったんですよ。もともとフットワークが軽いので、全国を飛び回る仕事は楽しいことばかり。催事後にその地方の有名店に行くこともあります。でも最近ちょっと痩せないとなあ…とも思っているところです(笑)。今後も催事が控えていますので、ぜひいらしてくださいね!



◆全国のイベントで『白山文雅』のカレーを!◆

10/6(土)-10/7(日)鹿児島市中央公園(九州最大2018カレーフェスタ)※台風25号の影響により中止となりました

10/11(木)-10/17(水)たまプラーザ東急3F(九州物産展)試食販売

11/7(水)-11/13(火)岩田屋本店B1F

11/21(水)-11/25(日)香蘭社赤絵町工房2F(第14回秋の有田陶磁器まつり)イートイン

2019年 1月 伊勢丹立川店

2月 伊勢丹浦和店


ビーフカレー牛タンシチューカレー
一番人気の『伝統のビーフカレー』(1,200円)に『牛タンシチューカレー』(1,800円)。真空パックなので、“甘み、うまみ、深み”で締める『白山文雅』の味をそのまま家で楽しめる。賞味期限は製造後14日間なのでお早目に!

お得な牛タン・ハヤシ入り7個セットお得な定番5個セット
ギフトもオススメ。『お得な牛タン・ハヤシ入り7個セット』(写真左7,500円)はすべてのメニューが詰まっている。『お得な定番5個セット』(5,000円)はビーフ・森のきのこ・辛口ジャワ・セイロン風チキン・スパイシーポーク入り

先人が愛したビーフカレー缶先人が愛したビーフカレー缶
『白山文雅』の顔ともいえる缶詰『先人が愛したビーフカレー』(1個1,200円、3個セット3,600円)は常温で保存期間が1年間と嬉しい。本店、『白山舎』でも購入できる

先人が愛したビーフカレー缶先人が愛したビーフカレー缶
佐賀市中心部、白山にある“昭和の高級店”の名残をとどめた雰囲気のある本店。60年来の地元のファンも通う。予約制の夜のフレンチコースも好評だ

先人が愛したビーフカレー缶先人が愛したビーフカレー缶
福岡からもアクセス抜群、大自然に囲まれた三瀬村にある姉妹店『白山舎』。テラス席もあり、電話予約がベター。“山のごはん”をテーマにバターライスに古代米を使うなど、本店との違いも楽しめる

>> 欧風カレー「白山文雅」の商品はこちらからご購入いただけます。

取材:森泉敦子

  


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2017年04月29日

おいしいカレーのお店「白山文雅」上野 茂和さん

白山文雅 上野 茂和さん
白山文雅
オーナーシェフ
上野 茂和さん

甘み、うまみ、深みで締める
さらなる欧風カレーの高みを目指して。

 来年60周年を迎える『白山文雅』。地元・佐賀の人々に愛され、全国からカレーファンが集い、一流料理人からの支持も厚い"欧風カレーの聖地"だ。名実ともに3代目オーナーシェフとなった上野茂和さんも、来年独立10年目という節目を迎えるにあたり、新たなチャレンジの道を歩み出した。昨年夏には客からリクエストの多かった缶詰を製造・販売、今年春には三瀬に姉妹店をオープン。あくまでも守りに入らず、カレー求道者としてさらなる高みを目指す上野さんに、3年半ぶりに熱い思いを伺った。


 ≪上野さんヒストリーはコチラ≫
★「記憶に残る味を追求して半世紀―」…2011年6月
★「美味しさを突き抜けて、感動の味へ―」…2013年10月

Q・上野さんが全面監修した缶詰『先人が愛したビーフカレー』、好評なようですね。
A・真空パックの商品は新鮮ですが、賞味期限も製造日から14日間、クール便で送付など結構制約があるんですよね。店舗でも販売しているんですが、遠方から来られたお客様がお土産で持ち帰れないということも多いんです。以前から常温で保存期間が1年間と長期間の缶詰へのリクエストが多かったので、昨年、まず『白山文雅』の顔ともいえる『伝統のビーフカレー』を缶詰にしました。

Q・真空パックのカレーは上野さんが作られるわけですが、缶詰の製造は工場へ委託しているんですよね。
A・そう、それが大変でしてね(笑)。以前のインタビューでも「文雅のカレーは味付けが勝負」と話しましたけど、これがなかなか上手く実現できなくて。味付けとは甘さと辛さと塩味のバランスをとることなんですが、「どのタイミングでこの調味料を…」と常に判断力が要求されます。私も先代のもとで修業10年、独立が認められ厨房を預かって今年で9年目。それでも、絶対に先代の味付けは超えられないですからね。商品化まで時間はかかりましたが、絶対味に妥協したくなかったので、原価を気にせず作り上げました。実は1缶1,080円という価格もギリギリなんですよ。

Q・それが今、『さがファン』にて限定特価で販売中ですよ~!みなさんチャンスです!…っと、商品化までのエピソードを教えてください。
A・まず工場の担当者にレシピを渡したんです。それなりの味になったんですが、味にキレがなかったんですよ。『白山文雅』のカレーはその独特の味付けによって「まず甘味が先に口の中に広がり、辛さがやってきてうまみとなり、最後は塩味で引き締められる」。それが味の"深み"となるんですよね。深みのある味は、最後にキレ上がらないといけない。日本酒を想像していただけるとわかると思います。"深みのない=最後にキレ上がらない"カレーは、おとなしく、記憶に残らない味。人々の記憶に残る、美味しい味を刻まないと、代金はいただけません。そこで、私が工場の研究室に出向き、味付けを自ら行いました。白衣を着て、何だか研究者になった気分でしたよ(笑)。味付けのタイミングを工場の方に直接指導して、調味料の量をデータ数値化しました。料理は化学的側面がありますからね。それで納得のできる、安定の味ができました。最後に先代に味を見てもらいOKが出たので、満を持して販売にいたったんです。

Q・昨年、福岡の岩田屋で試食販売したら、生産が追い付かない状態になったとか?
A・北九州、佐賀、長崎の食品を集めた催事に参加したんです。缶詰をお披露目するためでしたが、真空パックの商品も販売しました。試食販売だったんですが、想像以上に売れたんですよ。催事中は毎朝、佐賀・白山でカレーを仕込んで、国道263号線を通って車で福岡・天神まで通ったんですが、途中で生産が追い付かなくなり、1日に何度も往復したことも。終わりがけにはどんぐり村あたりで車を停めて仮眠していました(笑)。

Q・『白山文雅』の味が、カレーファンでなくとも一般の方々に広まっていきますね!
A・夏のカレーフェアという催事にも参加する予定です。地元佐賀やカレーファンの間で知られていても、隣県・福岡での知名度はまだまだ。催事参加は良い経験ですね。缶詰はギフトにも最適なので、『白山文雅』というブランドを多くの方々に知っていただくには、とてもいいツールだと思っています。今後の缶詰展開は『特製ハヤシライス』が控えていますので、期待していてください。

Q・前回のインタビューで、「文雅のブランドを保った自分の店をつくる」という言葉が出ていました。今年3月、三瀬に姉妹店『白山舎』がついにオープンしましたね!
A・当時は白山の店でそれを実現していたんです。おかげさまで連日満員、お客様の数も数年前に比べ1.5倍に増えました。従業員の数も増えましたし、経営者としてさまざまな試みもしました。料理人としてはひたすら先代を目指し、味を追求してきましたが、この数年、日々の多忙さに追われるばかり。自分の中で『白山文雅』の名前と、先代の味を残さないといけない、と常にプレッシャーを感じて今までやってきました。でもそれがちょっと義務のようになってきたことに気付いたんですね。すっかりカレーが大好きで素人で飛び込んだ、修業時代の気持ちを忘れていました。それでふと、「ただのカレー好きで、夢を追い求めていた20代の頃に戻りたい!」という気持ちが膨らんできてですね…。

Q・それで三瀬に『白山舎』を!思い切りましたね。
A・修業含め約20年、今45歳ですが、50になる前に男として、一からチャレンジしたい!という思いが強くなったんです。先代には「このまま、安定してお客様に料理を提供し、守りを固めておけば、お前の将来も安泰だぞ。あえてリスクを負う必要はないんじゃないか?」と言われましたが、私自身は常に新しいことに挑戦したいタイプ。足るを知らない性格なんですよ(笑)。だって、カレー作りには終わりがありませんから。現在本店と『白山舎』、どちらのカレーも私が作っていますが、本店は店長に任せ、私はほぼ『白山舎』にこもっています。理想の厨房を作ったんですが、そこで日々、営業終了後に新メニューの開発など、研究にいそしんでいます。もうこれが楽しくて、楽しくて、ですね(笑)。

Q・三瀬には、週末限定の人気カレー店もありますよね。そば街道じゃなく、カレー街道になるかも!?
A・目指したいですねえ!私、前々回のインタビューで、「カレーには3種類ある。欧風カレー、インドカレー、おふくろカレー」って話したんですけど、この数年、「その他」に当てはまるカレーがどんどん増えていますよね。カレー好きって食べる方もマニアが多いし、 作る方は変な人が多いんですよ(笑)。我流でカレー道を究める人が多い中、あえて正統派の欧風カレーシェフが、「三瀬をカレーの聖地にしよう」と手を挙げるのって面白くないですか?『白山舎』をカレー基地にして、さまざまなカレージャンルの猛者たちを集めて、ともに研究したり、イベントを開催したり…夢は膨らみますねえ(笑)!

Q・きっと上野さんならすぐ実現させそうで、ワクワクしますね。今後の展開を教えてください。
A・さらなる高みを追求することですよね。欧風カレーの『白山文雅』ですが、『フルーツカレー』『森のきのこのカレー』『7種の豆カレー』、『タイのグリーンカレー』など、さまざまなカレーがあります。でもそれは『白山文雅』のフィルターを通してつくったもの。だからすべてが"甘み、うまみ、深みで締める"という統一感のある味になっています。カレーは一口目のインパクトが大事。一皿勝負なんです。驚きと感動が得られないと、次はありません。来店されるお客様の舌は正直で、味付けが少し違っただけで、お土産用の真空パックの売れ行きが違うんですよ。カレーという境界があいまいな自由な料理を、フランス料理のようにワンランク存在を上げることは出来たと思っています。今後は、『白山文雅』のカレーをベースに、カレー人として成仏できるまで(笑)、カレーが持つあらゆる可能性にチャレンジしていきます!



外観1外観2
佐賀市の中心地、白山に創業当時の60年前からたたずむ『白山文雅』。雑誌に「カレーの聖地」と書かれ、日々ファンや美食家たちが集う

店内1店内2
"昭和の高級店"の名残をとどめた雰囲気のある店内。予約制で夜のフレンチコースも好評だ。接待にもよく使われるという

色紙1色紙2
和、洋、中華…一流の料理人たち、多くの芸能人が伝説のカレーを味わいによく訪れる。中には上野さんにカレーの作り方の教えを乞う有名料理人も

カレー缶詰1カレー缶詰2
店内でも真空パックの商品、そして今回新たに発売となった缶詰『先人が愛したビーフカレー』が発売中

白山舎1白山舎2
白山舎3白山舎4
福岡と佐賀を繋ぐ国道263号線。三瀬トンネルを福岡側から抜けてすぐ、山のふもとに新しくオープンした姉妹店『白山舎』。大自然の中、非日常の空間と時間を体験できる。"山のごはん"をテーマにバターライスに古代米を使うなど、本店との違いも楽しめる

>> 白山文雅の商品はこちらからご購入いただけます。

取材:森泉敦子

  


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2013年09月30日

おいしいカレーのお店 白山文雅 上野茂和さん

白山文雅オーナーシェフ上野茂和さん
白山文雅
オーナーシェフ
上野 茂和さん

美味しいのは当たり前。
突き抜けて感動が味わえる存在へ―。

 ほぼ、概念がないといっても過言ではない“カレー”。この独特かつ自由な料理をフランス料理のようにワンランク上げた存在へと変化させ、「文雅のカレー」というブランドとして確立。現在、不動の存在感を誇る「白山文雅」さん。オーナーシェフはご存知、2代目の味に惚れ込み素人から10年修行、独立して5年目となる上野さんだ。先代の味とブランドを守りつつ、愛するカレーへの飽くなき探求を続ける3代目・上野さん。さて、どんな話が飛び出すやら…?


≪上野さんの熱い語りはコチラでも≫
★「記憶に残る味を追求して半世紀―」…2011年6月
★「人生を捧げたカレーマスター、情熱の味」(口コミグルメコーナー)…2012年11月


Q・昨年、ご結婚されたそうで…おめでとうございます。状況は変化されました?
A・元々、妻は店のホールスタッフだったので、店の内情を良く知っているんですよ。結婚してから、経理など経営の方を任せられるようになりました。ですので、私自身はよりカレーに向き合って、料理を追求できるようになったことが嬉しい変化ですね…ですが、そんな嬉しい状況も半年で終わってしまいまして…、現在、妻が妊娠中で再び私が経営と料理の管理…と二足のわらじ状態へ戻ってしまったんですよ。


Q・そうなんですか! それでもおめでたいことですね。これからは夫婦二人三脚ですね。
A・私と結婚するということは、カレーと結婚するってことですから(笑)、それを理解してくれた上ですので、とても助かっています。私の気づかない点などもハッキリ指摘してくれますしね。しばらくは子育てでお店どころではないと思いますが…文字通り、夫婦二人三脚で今後やっていきたいと思います! また結婚してから、料理を突き詰めるのも大事ですが、スタッフたちが幸せに働く環境を整えることも大事だなあと思っています。


Q・先日、カレー専門誌を読んでいましたら、「カレーの聖地が何と佐賀にあった」と紹介されていましたよ。
A・はい、聖地と書かれてしまいました(笑)。最近、大和町の姉妹店だった「シャトー文雅」が別会社になりましたので、「文雅」の名前はここ、白山一つだけになったんですよね。シャトーで働いていた方からも「白山は絶対残さないかんぞ」って言われまして…。そのプレッシャーたるや、すざましいですよ! 私は最初1年間という約束で、先代に弟子入りしましたが、結局自分で納得が行くまで10年かかりました。実は1年、3年で弟子を止めても良かったんですよ。でも、先代との味と自分の味のクオリティーの幅が全然縮まらなかったんです。現在、先代から独立して5年目、先代の味との差を大分狭めつつ、自分の色も出していっている状態です。


Q・10年修行の上、5年目となると、ようやく余裕が出てきたころでは…?
A・私の場合は「先代のカレー」という規準があったので、ラッキーだったと思います。同時に、その存在にかなり苦しみましたが…。もし自分が10年も修業せず、自分なりのカレーを提供していたら、値段を安く設定していたでしょうね。もしくは、全然違う店になってしまったかもしれない…最初から「白山文雅」という絶大なるしばりがあったので、上を目指すことができたと思っています。独立当初は先代と比較され、厨房のカーテンを閉めてカレーをつくりたいと思っていました。実際に1年目は売上が激減、2年目も売り上げが落ちたらどうしよう…と日々、プレッシャーにさいなまれていたんです。


Q・比較は永遠のテーマですね。しかし、そんなエピソードがあったとは初耳です。
A・10年間修行していましたから、理屈抜きに体に染みついていたんです…“文雅流味付け”が。「最初に甘みがやって来て、うまみに変化し、最後は深みが訪れて締める」…これ、みそ汁でも同じなんですよ! でもどうしても、自分の味付けは先代の味付けとイコールにならない…。そんな時にお店に訪れてくれたのが、あの四川料理の料理人・陳 健一さんなんです。彼も偉大な父親・建民さんの存在に悩みあがいていたそうですが、ある時、「全く同じ味の料理はつくれない。違う人間なんだから同じになるはずがない」というあきらめに近い境地になったそうです。それから、大分気が楽になったと語ってくれました。


Q・随分、精神的なものも影響するんですね。それから上野さんにも変化が…?
A・はい。陳さんにお会いした後、「文雅のブランドを保った自分の店をつくろう」という気持ちが生まれました。先代も「俺を踏襲しろ」と言っていたので、2年目あたりからカレーのメニューを増やし始めたんです。まかないでバイトさんたちに出していた豆カレーが美味しい、と評判だったので商品化に値するように研究を重ねていきました。ほかタイのグリーンカレーも、従来の文雅では考えられないメニューですが、すべてのメニューにはきっちり、「白山文雅」のフィルターを通し、統一感を出した味付けとなっています。「甘み、うまみ、深みで締める」という…それで、売上も安定し始めて、店を前に進めることができたんです。


Q・制限のある空間で、自由に自分のカレーを追求することが出来始めたんですね。
A・私は幅広い年齢層のお客様たちに来ていただきたいんですね。というよりも、先代、先々代のお客様のことを考えると、3世代のお客様に楽しんでいただく責務があると思っています。佐賀という場所柄、「なんかわからんけど面白かね」って言われる場所であれば十分だなと思っています。現在ベースとなるソースが8つあり、さまざまなカレーメニューがありますが、あらゆるカレーを高いクオリティーで出したいという想いは揺らぐことはありません。「面白そう」という期待から来ていただいた方に対する、新しいカレーの啓蒙活動をしているっていう感覚もあるんですよ。


Q・プレッシャーから徐々に解放されて、自然体になってきたといったところでしょうか?
A・先代は常に「美味しいのは当たり前。突き抜けて感動を与えられるようになれ」と私に言い続けてきました。それから「カレーは突き詰めると、フランス料理のソースをつくよりも難しい料理だぞ」と。カレーって境界があいまい過ぎて、料理って思わない人も多いんですよね。ですので、とにかく一流といわれる料理店は食べ歩き、自分の舌を鍛えてきました。中でも元・福岡の警固にあったフレンチ「ビストロ炎」の大ファンで、良く通っていまして…小西晃治オーナーシェフに心酔してたんですよ。昨年、実はその憧れの小西シェフがスタッフを引き連れて、うちの店に来たんですよね!!


Q・小西さんといえば、現在、福岡・大手門のリストランテ「ジョルジュマルソー」のオーナーシェフですよね。敷居が高くて隣を通るだけで緊張します(笑)。
A・その小西シェフが、ご自身の店のスタッフが独立して無国籍料理店をオープンするから、私にカレーのつくり方を教えてくれって、尋ねて来られたんですよ。もう、驚くしかありませんでしたね。あの夢の小西シェフが…私にカレーを教えてくれ、と!! 興奮しましたね。理由を聞いたら、ただ「お前のカレーって美味しいから」ってことだったんですけど、私にとって、一つ大きなステップに上がったという感じです。お客様から「美味しい」「感動した」と言われるのもとても嬉しいですが、一流の料理人が自分を一流と認めてくれた、という感動は言葉に表しにくいですね!


Q・いやあ、それはすごいトピックですね…インタビューの最後に出てきましたけど(笑)。やはり上野さんは職人かつ、アーティストですよね。
A・モノづくりをする人は全員が職人でアーティストじゃなければならないって私は思いますよ。納得するまで突き詰める、そうじゃないと自信持って表現できないし、評価ももらえませんし、結果、お金もいただけない。今はスープカレーに挑戦中なんですよ。いわゆる札幌流の大衆的なスープカレーではなく、文雅流のフランス料理のエッセンスが効いたスープカレー…いつ、メニューに並ぶかわかりませんが、楽しみにしていてくださいね!


外観外観
佐賀市の中心地、白山に創業当時のままたたずむ「白山文雅」。多くの人々の舌を魅了してやまない。


内観内観
フランス料理店のなごりを残す雰囲気のある店内。接待にもよく使われるという。


色紙色紙
芸能人も多く訪れるが、飾られているのは上野さんが尊敬する一流料理人たちの色紙。


イメージエントランス
お店でも真空パックの商品は購入可能。週末には県外からカレーだけ目当ての客も多く訪れるそう。


>> 白山文雅の商品はこちらからご購入いただけます。

  


Posted by さがファンショッピング  at 17:03Comments(0)白山文雅