店主訪問記

2016年07月30日

「福岡精肉・デリカ」福岡 由一朗さん


福岡精肉・デリカ
福岡 由一朗さん

基本は"佐賀にある町の肉屋"
お肉の美味しさを誠実に提案することが使命

 「さがファン」には熱血店長が多いが、「福岡精肉・デリカ」さんはその中でもトップクラス。今ではいろんな店で見られるようになった「佐賀牛カレー」のパイオニアであり、そして余った牛脂を利用した「佐賀の和牛塩石けん さらり」を開発、そして後に全国区となる「佐賀牛カレーパン」を生み出すなど、"町のお肉屋"さんが今後目指すところは…? 8月には「BBQ用の佐賀牛・バラ肉」を新商品として提供予定のデリカさん。パワフルな父母に続き、3代目となる息子の由一朗さんに本音をインタビュー。

【佐賀から全国区への道、追っています!今までは…】
★地元商店街の衰退から地道な快進撃…2010年3月
★コツコツ追求&ネット力がブレイク寸前…2012年6月
★家庭の美味しさに全国から注文殺到…2014年8月

Q・相変わらず「佐賀牛カレーパン」、大盛況のようですね。
A・現在、「さがファン」でネット注文いただいたお客様には1カ月待ちの状態が続いています。大変申し訳ないのですが、特に7月のお中元のシーズンは忙しくて1日200個手作りしても追いつかないんですよ。昨年から大手ショッピングセンターのお中元ギフトに6個セットを納品させてもらうようになり、ありがたいことですが、更に忙しくなってしまいました。

Q・TVの取材依頼も多く、あの緒方直人さんがフラッと来られて買って行かれたとか!
A・「佐賀牛カレーパン」自体は数年前からあったのですが、2年前に全国放送の番組(「シルシルミシルさんデー」全国ご当地パン特集で大賞を受賞)で取り上げられて以来、反響が大きく、地元のTV局が相次いで取材に来られるようになりました。だから、一時的なブームで終わらず、注文が途切れないと思っています。また、最近タレントさんや俳優さんがアポなしで全国の街を旅するような番組が多いじゃないですか。緒方さんは、土日でも人がまばらな佐賀の商店街跡地に行列を発見して、何だこれは!?と驚かれたそうですよ。

Q・ブームじゃなく、本当に美味しいから支持されるんですよ!
A・前、母が話したと思いますが、「佐賀牛カレーパン」を作れるのは母とその妹だけなんですよ。カレーは福岡家に代々続く、門外不出のレシピ。パンは途中から業者に代わって、母の趣味が高じた手作りパン。ですので、スタッフが増えたとしても量が作れないんですよ。効率化の為に2階の事務所にパン工場を作ろう、という話も今出ているんです。

Q・デリカさんのいいところは、地元密着という点ですよね。どんなに有名になっても決して浮かれないし(失礼)、また広げていかないですよね。
A・あくまでもうちは町の肉屋ですからね(笑)。父、母、私、そしてパートさんと人数も限られていますし、「佐賀牛カレーパン」「佐賀の和牛塩石けん さらり」は大手スーパーの肉屋等と差別化、つまり生き残る為に父がアイデアをひねって生まれたもの。決してメインではないし、利益もそこまで上がりません。一番利益が出るのはもちろん、お肉です。その点はしっかり理解して、地に足をつけて経営を行っていかねばなりません。

Q・そもそも由一朗さんは、お肉屋さんを継ぐ気があったのですか?
A・まったくありませんでした。父も肉屋経営の厳しさを知っているので、息子の私には継がせたくなかったようです。商店街が栄えていた私の子ども時代は黙っていても町の人がお肉を買いに来て、それはにぎわっていました。でも子ども心に夏休みに家族で遊びに行ったというような思い出が全くなく、それが淋しかったですね。しかし時代の変化と共にどう生き残るか、父は経営学はもちろん心理学まで習得し、外部コンサルタントを招いて、お店の存続に心血を注いでいました。その必死な姿を見て、ポロッと「僕も手伝えるかもしれない」とつぶやいたところ、あっという間に巻き込まれて社員になっちゃったんですよ(笑)。5年ほど前のことです。

Q・それまではいろんなお仕事を転々とされていたようですね。
A・はい。お肉の部位どころか、牛、豚、鶏ぐらいしかわからなかったんですよ(笑)。佐賀の高校を出て、宮崎の大学に行き介護士の資格を取得しました。その間、割烹料理屋の板場でバイトをしていたので、魚はさばけたんです。その後、大阪に行ってパテシエの修業を経て、リフォーム会社の営業に転職し、やっと佐賀に戻ってきて病院で介護の仕事に就きました。今振り返ると、さまざまな職業の経験のおかげで肉屋の経営、または魅力を客観的に見られるのかなと感じています。

Q・魚はさばけても肉はさばけず…包丁の扱い方をyou tubeで勉強したんですって?
A・最初の担当は、幼稚園の給食宅配だったんですよ。父にはゆくゆくは佐賀市の小学校の給食事業に参入したいという思いがあり、まずは実績をつくる為に別会社を設けて幼稚園から始めたんです。こういった給食の調理業務委託会社が当時、佐賀にはなく、福岡の会社が行っていました。地元の給食は地元でつくりたいという思いも強かったんでしょうね。しかし、家族経営ですので時間や体力的にも限界があり、自分としてはだんだん将来的なビジョンが見えなくなっていったんです。そこで一旦この事業から撤退しました。

Q・お父様は料理教室を開いて食育講座を行ったり、「佐賀県食肉生活衛生同業組合」の理事長を勤められていたり、と食を通じて精力的に活動されていますよね。
A・そんな父が3年程前に心筋梗塞で倒れたんですよ!当時、肉をさばいていたのは父1人。準備期間なしでいきなり包丁を握らなくてはいけなくなってしまったんです。包丁の使い方を他の肉屋さんに聞くわけにもいかないし、業者さんは待ったなしで肉を大きなブロックで持ってくる…。「一体このスジは何?」の世界からスタートしました。魚をさばくのと全然違いますが、何とかマスターしました。退院した父からは「お前、肉が泣いとるぞ」と言われましたが、卸先のレストラン等からクレームが来たことは一度もなかったんですよ。you tubeのお陰です(笑)…とは冗談で、そこで自信を持つことができました。

Q・お父様も頼りにしているでしょうね!由一朗さんは今後、お店をどのような存在にしていきたいですか?
A・私自身は、"町の肉屋"ということにこだわっていきたいと思っています。「佐賀牛カレーパン」「佐賀牛カレー」「佐賀牛ハンバーグ」等、佐賀牛による加工食品がクローズアップされがちですが、佐賀牛に限らずお肉には一般的に知られていない、美味しい希少部位がたくさんあるんですよ。お肉の部位に余りはありません。最近は肉ブームで飲食店を経営している肉ファンからの問い合わせも多いですが、できれば家庭でももっとおいしく肉を食べられるように、提案していけるようなお肉屋さんにしていきたいですね。もちろん、商談会などにも積極的に参加して、経営部分にももっと携わっていきたいです。

Q・最後に夏バテ対策の為に美味しいお肉の食べ方を教えてください!
A・夏はビタミンが不足するので、ビタミンBが豊富な豚肉を食べると疲れがとれやすいですよ。ロース、バラが家庭では使い勝手がいいですね。オススメはスペアリブ。一回茹でてつけだれに1日漬け込み、後は焼くだけ。牛肉は1.5cm程の厚みにカットしたモモ肉をステーキにして、ワサビや岩塩でサラッといただく。焼く時には煙が出るまでフライパンを温めて裏表3~4分づつ。ミディアムレアのお肉をよく噛んで食べると、旨みが口の中にじわ~っと広がります。鶏肉はモモ肉を夏野菜と一緒に唐揚げにして、サッパリいただくといいですね。みぞれあんかけをかけると最高ですよ!夏はサッパリが基本ですので、お肉にポン酢をかけると脂っぽさが消されます。BBQでは必ずといっていいほど、焼肉のタレが登場しますが、あまりオススメしませんね~。あっ、あくまでも個人的な意見です!

カレーパンカレーパン
1日200個限定、土日のみ揚げたてが味わえる「佐賀牛カレーパン」。添加物は一切使わず、イースト菌、国産無塩バターを使用。ボリューミーなのに、サクサクした食感で思わずペロリ!一度食べると、間違いなくクセになる…。

外観外観
外観外観
夏場はブルーの大きな日よけが目印。「カレーパン」の黄色いのぼりを目指して!スッキリとした商店街跡地に「やわらかいお肉とカタイ信用で奉仕する福岡精肉デリカ」の文字がどっしりと構える。

さらりカレー
佐賀和牛塩せっけん さらり」も店頭の特設コーナーに並ぶ。福岡さん夫婦はじめ、スタッフのみなさんのスベスベな手を見れば、その効果は一目瞭然だ。大人気の「佐賀牛カレー」はレジの人に一声かけて。カレーにも生産者や牛が育てられた場所がわかる個体識別番号が書いてある。

佐賀牛ハンバーグ佐賀牛ハンバーグ
県産のタマネギを大きく切ることで、より佐賀牛のうまみとタマネギの甘みが絡みやすくなった「佐賀牛ハンバーグ」。一口食べると、ハンバーグなのに舌の上でとろける柔らかさ!佐賀牛はステーキやすきやき用に使う肉を使用しているこだわりよう。

>> 福岡精肉デリカの商品はこちらからご購入いただけます。

  


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2014年07月31日

福岡精肉デリカ 福岡 敏子さん

福岡精肉デリカ福岡敏子さん
福岡精肉デリカ
福岡 敏子さん

すべては家庭の“美味しい”からスタート
正直、こそが信念で原動力。

 町のお肉屋さんに全国から熱い視線!!「さがファン」オープン時からの参加店であり、回数さえ少なけれどこのコーナーにおいて強烈な印象を放ってきた「福岡精肉デリカ」さん。近々では「佐賀牛カレーパン」と「佐賀和牛塩せっけん さらり」が全国メディアに取り上げられ、大きな話題に。カレーパンに至っては現在1カ月待ち、県外からもお目当て客がひっきりなし!今回はカレーパンの生みの親、熱血社長の奥様にアタック。

【さがファンならでは、追ってます!今までは…】
★地元商店街の衰退から地道な快進撃…2010年3月
★コツコツ追求&ネット力がブレイク寸前…2012年6月

Q・「佐賀牛カレーパン」、ついに全国区が確立されましたね!あの有名タレントが「めちゃめちゃおいしい!」とTVで絶叫していました!
A・テレビ効果はすごいですね。6月末にテレビ朝日「シルシルミシルさんデー」にて、“全国ご当地パンといえば大賞”に取り上げてもらって以来、注文が止まらなくて、この3週間で4000個くらいは全国各地へ発送したと思います。現在、ネットでご注文のお客様には1カ月待ちの状態で申し訳ないんですが、1日200個手作りしていてもなかなか追いつかないんですよ。

Q・パン屋さんじゃなくてお肉屋さんが作った、というところも驚きですよね!初めて取材に伺った4年半前は、地元の製パン業者さんとコラボされていた時期でした。
A・「佐賀和牛塩せっけん さらり」もそうですが、すべての商品化のアイデアは夫・社長によるものなんです。私たちはあくまでも地元の肉屋ですから、何か突飛なことをして利益を得ようなど全然思っていません。約6年前に「佐賀牛カレーパン」の原型ができて、商品化の為に製パン業者とコラボしましたが、当時は「佐賀牛カレー」も珍しかったし、ましてカレーパンはどこも商品化していませんでしたからね。約1年間、業者さんと一緒に頑張りましたが、最終的にはお互いの思いが通じ合わずにいったん白紙に戻ったんです。

Q・今は完全に奥様とスタッフの手作りですよね。そこにいたる経緯とは…?
A・もし、うちがパン屋だったら考え方は違っていたでしょうが、肉屋ですからね。利益を最優先に追求すれば、時間をかけずに一度に多数のパンが作れる手法を使ったり、粉の質を変更したり…といろいろできるんですよ。でも私たちは本業と同じく、利益を優先順位のトップにしていないので、時間がかかってもいいから本当に美味しい「佐賀牛カレーパン」を作って、お客様に提供したいと思いました。当時、私は妹と一緒に趣味でパン教室に通っていたんです。趣味ですよ!商売にするつもりは全くありませんでした…。そこに社長・夫の声がかかったんです。

Q・なるほど。趣味から商売へ…。軌道に乗せるまでが大変だったんでしょうね。
A・最初はええ~!?と思いましたよ。でも、肉屋としてお客様に「美味しかった、また買いに来ます」と言われるやりがいは実感していたので、パンづくりも同じだと思いチャレンジしました。手作りという手法においては5年前と変わりませんが、粉においては、原価を変えずにいかにより良いモノにするか、と日々考え、チャンスを伺っています。現在は20数年間一緒に働いている妹と一緒に「佐賀牛カレーパン」づくりをしていますが、ネタになるカレー作りにおいては、実は私以外、門外不出なんですよ…。

Q・カレーを包む“がわ”も重要ですが、何といっても中身の佐賀牛カレーですよね!
A・そうなんです。それこそがパン屋ではなく、肉屋の本領発揮といったところですね。「佐賀牛カレーパン」の中身は、佐賀牛のあらゆる部位を使っています。よくお客様から「カレーパンなのに脂っぽくなく、重くない。存在感のある佐賀牛を使っているのにしつこくない」と言われるのですが、カレーはもちろん、“がわ”であるパンの食感に一番見合った部位を使っているんですよ。今でこそ、佐賀牛を使ったカレーパンはあちこちで見ますが、あらかじめ出来たカレーペーストの中に佐賀牛を織り込む商品が多いようですね。私たちの商品は佐賀牛ありき、佐賀牛のスープをベースにカレーを作り、パンに織り交ぜています。手間ひまはかかりますが、その差というものは食べてわかるものだと思っています。

Q・「福岡精肉デリカ」さんの「佐賀牛カレー」も絶品なんですよね。今はいろんなお店が佐賀牛カレーを出していますが…実は、先取りだったんですね!
A・「佐賀牛カレー」は白いご飯に合うように作られていますので、実は「佐賀牛カレーパン」に使うカレーとは根本的に作り方も違うんですよ。実は夫の母・義母のカレーがすごく美味しくて家族内でとても評判だったんです。結婚するまで肉のことは全然知りませんでしたが、肉の知識をつけると同時に、佐賀産和牛を使った義母のカレーのレシピを受け継いだんです。ですので、「佐賀牛カレー」は福岡家・おばあちゃんの味、「佐賀牛カレーパン」は私・お母さんの味といいましょうか。30数年前、結婚した時点ですでに原型となるカレー自体が存在していたんですよ。

Q・面白いお話ですね!!レシピが門外不出なのも理解できます。奥様が倒れたりなどしたら、「佐賀牛カレーパン」は食べられなくなってしまいますね。
A・そうですね~!そうならないように気をつけます(笑)。妹含め、スタッフが休日の時まで店に出てきてくれて…もう感謝の気持ちでいっぱいです。テレビなどで取り上げられるようになってから、周りの人たちから「カレーパンと石けんで十分稼いでいるでしょう」などと言われることもありますが、全く!全然!!です。何回も申し上げていますが、私たちは地元に密着した肉屋であり、優先順位はお客様に「美味しい!」と言われ、私たちのふるさと、佐賀に興味を持ってもらえること。今はとにかく、全国でお待ちのお客様にいち早く商品を届けることと同時にスタッフに休日をとらせたいですね。

Q・「福岡精肉デリカ」さんの商品を通じ、全国に佐賀の存在が広まり「さがファン」も嬉しい限り!さすが夫婦ですね。その情熱に圧倒されます。
A・正直言うと、将来的に不安もたくさんありますよ。でも、お互い「美味しい」と感じることに絶対妥協しないという点が共通点であり、原動力です。とにかく食べることがお互い好きなんですよね(笑)。それが何よりもの理由だと思います。お互いが少しでも妥協したら、きっと店はつぶれてしまうと思うんですね。「佐賀牛カレーパン」は390円ですが、それを「高いなあ」と言われるお客様が段々減ってきているんです。「高い」よりも「美味しい」という声が増えていることが、本当に嬉しいですね。

Q・ご主人はずっと“食”に関わる活動をされていますし、どんなに時間をかけても、本物は残っていくんですね。ブームとは違う信念をいつも感じます。
A・確かにテレビにとりあげられたら、ブームになるかもしれません。でも私たちの信念は、“正直”であること。今では佐賀に来るのが初めてという県外からお客様も見えます。ブーム感を出す為に行列の風景を作りたいという関係者もいらっしゃいますが、お客様を必要以上にお待たせしたくないので、とにかく商品を早くお届けしたい、その一心で土日限定の「佐賀牛カレーパン」販売もスタッフ一丸となってさばいています!良いものは良い、美味しいものは美味しい。肉屋に嫁いだ時点でのシンプルな思いをベースに今後も地元、全国の皆さんに喜んでいただけるように、頑張っていきたいと思っています!

カレーパンカレーパン
1日200個限定、土日のみ揚げたてが味わえる「佐賀牛カレーパン」。添加物は一切使わず、イースト菌、国産無塩バターを使用。ボリューミーなのに、サクサクした食感で思わずペロリ!一度食べると、間違いなくクセになる…。

外観外観
外観外観
夏場はブルーの大きな日よけが目印。「カレーパン」の黄色いのぼりを目指して!スッキリとした商店街跡地に「やわらかいお肉とカタイ信用で奉仕する福岡精肉デリカ」の文字がどっしりと構える。

さらりカレー
佐賀和牛塩せっけん さらり」も店頭の特設コーナーに並ぶ。福岡さん夫婦はじめ、スタッフのみなさんのスベスベな手を見れば、その効果は一目瞭然だ。大人気の「佐賀牛カレー」はレジの人に一声かけて。カレーにも生産者や牛が育てられた場所がわかる個体識別番号が書いてある。

佐賀牛ハンバーグ佐賀牛ハンバーグ
県産のタマネギを大きく切ることで、より佐賀牛のうまみとタマネギの甘みが絡みやすくなった「佐賀牛ハンバーグ」。一口食べると、ハンバーグなのに舌の上でとろける柔らかさ!佐賀牛はステーキやすきやき用に使う肉を使用しているこだわりよう。

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Posted by さがファンショッピング  at 17:00Comments(0)福岡精肉・デリカ

2012年06月01日

福岡精肉デリカ 福岡勤さん

食にこだわることは、体にこだわること
消費者に寄り添い、真実を伝えてゆきたい

 かつて多くの人々にぎわい、町のコミュニケーションの場でもあった佐賀市中心部、呉服町名店街。姿を消したのはもう3年以上前となる。656広場を中心に、スッキリと広がるかつての商店街に1軒のみ、日々活気であふれる空間がある。そこが「福岡精肉デリカ」さんだ。「さがファン」きっての熱血店長であり、現実の店でも、仮想商店街でもある「さがファン」でも、その情熱と行動力はもちろん、「佐賀牛カレーパン」、「和牛石けん」など話題性はトップクラスといってもいいだろう。2年3カ月ぶりの再会。



Q・ここ2年、「佐賀牛カレーパン」や「和牛石けん さらり」がメディアで話題になるなど、変化が多くありましたね。
A・おかげさまで相変わらず休む暇はありませんよ。でも、正直大きな変化はありません。商店街が姿を消し、新しい町となりましたが、全体的に衰退の一方です。新しく店ができても、人々は戻って来ず、閉店する店も多くありました。そこで改めて思ったのはやっぱり、継続し続けることの大切さですよね。その中でインターネットの影響がこの頃、大きいなということに気づいたんですよ。


Q・小さな町の一肉屋さんが、全国区になるなど、前例がないことですよね。「さがファン」としても嬉しい限りです。
A・でも、時間がかかるものですね。ネット販売を始めて7年。やっと信用がついてきたように思います。自分では意識していないのですが、このごろ、消費者の皆さんを始め、卸業者さん、飲食業さん、通販カタログを作成されている関係者から、よく声をかけられるんですよ。「ネットで見た人と同じ人だ」って(笑)。そこから広がり、「うちに肉を卸してください」という注文が多くなってきたんです。


Q・メディアによる効果だけじゃなく、関係者からの信用がついてくるというのは、地道に活動してきた結果ですね。
A・テレビや新聞で取り上げられても一瞬のことですしね、きっかけにはなりますが。口コミでの広がりとネットの相乗効果がやっと芽を出してきたところなのかもしれません。商店街があったころは、いかに売上を出す店にしようかと悩み、外部からコンサルタントに3回も入ってもらったり…としていました。ネットに方向転換しなければ、うちの店ももしかして危なかったかもしれません。また、単に話題になればいいっていう問題ではないですし、この地に拠点を構え57年。常に食の問題はついて回り、最近では放射能の問題が避けられません。いかに誠実に関係者に向き合い、消費者に寄り添っていくべきか、日々考えています。


Q・食の問題については、前回の「店主訪問記」でも熱く語っていらっしゃっていたのが印象に残っています。現在、具体的にはどのような活動をされているんですか?
A・店頭に出す肉にも、出生地、生産地を書いたラベルを貼ることにしています。現実問題、これだけ食の問題が叫ばれているのに、多くの消費者はラベルの賞味期限、消費期限の文面しか見ていないような気がします。アレルギーを持つ人は、アレルギー表をチェックするでしょうけど、肝心の食品表示を見てほしいんですよね。


Q・「消費者も自ら勉強しなければならない」…ということですよね。今、いろんなところで耳にします。
A・何か問題が起きた時に、小売店、メーカー、行政、と責任転嫁が生じますからね。その問題が起きる前に、消費者も自ら商品知識を得て、生鮮品を購入すべきと思っています。自分の口に入るものですから、最終的に自分自身が責任を持たないと。食にこだわりを持つということは、自分の体にこだわりを持つ、ということです。私は食育や料理教室などの活動も行っていますが、さまざまな活動において、消費者にその事実を伝えていきたいと思っています。


Q・本当ですね。食の問題は対岸の火事ではない、日々、自分の生活にかかっていることですから、消費者は危機感を感じないといけないんですよね。
A・そうなんですよ。でも実際、危機感を感じている人が少ないから、消費者に一番近い存在である、一肉屋の私が何らかの形で寄り添っていきたいんですよね。食育、というものは言葉にすると大きく感じますが、本当に身近なものなんです。流通業界と消費者には大きな隔たりがあると思います。また、そこに行政が入ってくるともっとややこしくなる気がします。命に関わる問題が日々、転がっているのに、歯がゆい思いを良くします。


Q・「佐賀県食肉生活衛生同業組合」の理事長もお務めになっていらっしゃるとか?
A・はい。佐賀県では80人ほどの組織体制になっていますが、活動は全国区です。生活に密着した活動をしていまして、例えば、先日のユッケによる食中毒問題においては、どこに責任があるのかを、じっくり追求していきました。メディアの錯綜を防ぐためにも、この同業組合での活動にも力を入れて、いずれ厚生労働省まで動かしたいですね!


Q・しかし、体がいくつあっても足りませんね。福岡さんみたいな人がいっぱいいたら、商店街も良い方向に変わっていったのかも…?
A・いえいえ、私が良いといっているわけではありません。店には店のスタンスがあります。商店街がつぶれたのは老朽化だけが問題じゃないですからね。商売のスタイル、そして温度差…さまざまな要素が重なっています。私自身の悩みは…儲けがほとんど出ないことですよ(笑)。小売店の一番弱いところは、あきんどじゃないというところ。実際問題、後継者が育っていかないのも、将来的に大きな課題になっていきます。そういった現実を踏まえ、私は単純に、自分の店のファンを地道に増やしていくしかないと思っています。そして新しい活路を見出し、商売の目先を変えて行かなければ、と。「さがファン」を始めた時のようにですね。


Q・「佐賀牛カレーパン」も完全手作りですしね。また、「佐賀牛ハンバーグ」も話題に上がってきています。
A・あんまりこだわり過ぎていたら、商売人として失敗してしまうんですけど(笑)…、自分の信念を貫いて、家族と生活できていければいいかな、とも思うんですよ。でも、「佐賀牛カレーパン」も、お客様のリクエストから生まれた「佐賀牛ハンバーグ」もすごくこだわっています。内容は後で述べますが(※下記、写真のキャプション参考)、言葉で伝えるよりも、実際食べていただいた方が早いと思いますよ。


Q・はい!! 絶品です。こだわりが、味ににじみ出てます。
A・ずっとうちで肉を買っていたお客様が、ちょっと浮気をされまして(笑)、結局元に戻ってくるケースっていうのが、最近多いんです。確かに良い肉は高いです。うちの肉も決して安くありません。しかし、本物の味を知ったお客様は離れて行きません。そういったファンの方々を離さず、コツコツと広げていきたいですね。人間の体内時計ってうまくできていて、10年添加物入りのものを食べていないと、添加物入りの食べ物は受け付けられないんですよ。食の問題が起きてから、誰かのせいにするのではなく、自分の体で覚える…そういったことを地道に伝え続けていきたいと、私は思っています。


佐賀牛ハンバーグ佐賀牛ハンバーグ
県産のタマネギを大きく切ることで、より佐賀牛のうまみとタマネギの甘みが絡みやすくなった「佐賀牛ハンバーグ」。一口食べると、ハンバーグなのに舌の上でとろける柔らかさ!佐賀牛はステーキやすきやき用に使う肉を使用しているこだわりよう。



佐賀牛カレーパン
1日200個限定、土日のみ揚げたてが味わえる「佐賀牛カレーパン」。売り切れ必須、テレビでも大きな話題に。添加物は一切使わず、イースト菌、無塩バターを使用。



もなかの部屋もなかの部屋
徹底した湿度管理
スッキリとした商店街跡地に「やわらかいお肉とカタイ信用で奉仕する福岡精肉デリカ」の文字がどっしりと構える。



製餡部屋
和牛石けん さらり」も店頭の特設コーナーに並ぶ。福岡さんはじめ、スタッフのみなさんのスベスベな手を見れば、その効果は一目瞭然だ。



さが錦製造工程6
大人気のカレーはレジの人に一声かけて。
カレーにも生産者や牛が育てられた場所がわかる個体識別番号がついている。



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Posted by さがファンショッピング  at 04:43Comments(0)福岡精肉・デリカ