店主訪問記

2021年03月03日

「みつせファン」篠原 清彦さん

美味しい水と空気が生んだ
“みつせ”のイイトコどり!

 『さがファン』に新しいお店がこの3月にオープン!その名も『みつせファン』。脊振山系の標高400mの山あいにある「三瀬村」の特産品が一同に会したアンテナショップだ。佐賀と福岡の中間地点に位置し、クルマを走らせること約1時間で、一面緑の脊振の山々、悠々と流れる川に澄んだ空気…と別世界が広がる。牧場やそば街道、隠れたカフェに果物狩り、農業体験などを求め、週末には県内外からアウトドアファンが訪れる。手つかずの自然があふれ、素朴で優しい村民たちが出迎えてくれる三瀬村。その村の“イイトコどり!”を『みつせファン』からお届けする。

Q・『みつせファン』の誕生の経緯を教えてください。
A・三瀬村を盛り上げようという動きは、平成17(2005)年、佐賀市と合併した頃から、いろんな団体が集い始まりました。三瀬村の産業の核は農業と観光です。佐賀や福岡の人々と三瀬高原での行楽を通じて絆を深め、野菜、果物、そして加工品の販売で、村民たちの幸せづくりを進めてきました。三瀬村は人口1,270人ほど(※平成31(2019)年末)と過疎化が進み、またコロナ禍の影響で、村の経済も縮小していきました。そんな中、時代の流れに沿って、佐賀と福岡の人々の交流をネットでつなごう、と生まれたアイデアが『みつせファン』です。

Q・三瀬村を盛り上げようという動きとはどのようなものですか?
A・『みつせファン』の事務局は平成23(2011)年に発足した「三瀬村活性化会議」内にあります。本格的な動きは「三瀬村活性化会議」の立ち上げからスタートしました。佐賀市と合併当初、「これからの三瀬村の進むべき方向性」を議論することから始めました。というのも、私たちが抱えている課題は過疎化と村民の高齢化でした。これから村の農業のあり方をどうするか、後継者対策をどうするか、などと議論を重ねた結果、具体的な行動を起こすことが必要だと考えたのです。そして、村民が一体となって、特産品をつくったり、イベントを開催したり、村の魅力を講演会などで発信していくことにしたんです。また、勉強のために他県へ視察研修に行くこともあります。

Q・その動きの一環が『みつせファン』なのですね。
A・はい。ただ、大きな懸念点がありました。三瀬村には40代以下の若い世代がいないんですよ。ご想像の通り、パソコンを使う世代がほとんどいなかったんです。でももうこのまんまじゃいけない、ということになり…白羽の矢が立ったのが、『みつせファン』の店長を務める、田中祐介君です。彼は「三瀬村活性化会議」の期待を一身に背負う唯一の30歳の若者です(笑)。現在は『みつせファン』内に商品を展開している「農業生産法人 アサヒ・アグリ佐賀」の社員として別途オンラインショップの運営にあたっています。

みつせファン店長 田中 祐介さん
みつせファン店長
田中 祐介さん

Q・田中さん、大抜擢というところでしょうか?もともと村ご出身なんですか?
A・(田中さん)実は、三瀬村に住んでまだ1年半なんですよ。祖父と祖母が三瀬村で暮らしていて、父母も村出身です。私は生まれも育ちも、福岡・小郡ですが、幼い頃からよく遊びに来ていたのでなじみはあります。でも住むとなるとまた別ですね。ビックリしたのは四季を肌で感じられるということ。あとパソコンに向かって働いていても、時間に追われている感覚が全然ないんです。そして、人生の先輩たちに学ぶことがとても多い。同世代の知人はいませんが、クルマで福岡の中心地まで1時間で行けますし、アクセスも抜群で寂しくはないですね。都会にありがちなストレスがない、本当にいいところです。

Q・なんだかうらやましいですね。『みつせファン』の商品セレクトはどのように行っているんですか?
A・第一弾としては、テレビ番組でも話題になった『れんこんパウダー』や、直売所でも人気の『三瀬やまびこみそ(米玄米)』や『柚子とうがらし(青)』、米粉を使った『三瀬ぜんざい』など全17品出しています。基本は直売所や商談会でニーズの高い商品を提案しています。もちろん、これからどんどん増えていく予定です。

Q・現在は「三瀬村活性化会議」内の2つの会が主体となって『みつせファン』を運営しているんですよね。これから別の会が加わる可能性もありますか?
A・もちろんです。「三瀬村活性化会議」は結成して10年の間、8つの組織に広がりました。『みつせファン』を運営するのは、ずっと以前(平成3(1991)年)から野菜の生産や販売活動を行っている「地場産業の振興分科会」と、三瀬ブランドの商品づくりを行っている「特産化研究会」の2つの会です。そのほかにも、ブランド米をつくっている「三瀬の米分科会」、味噌やコショウなどの加工品づくりを行う「加工化研究会」や日本蜜蜂のハチミツ採取、商品化に取り組む「三瀬和蜂研究会」などもあって、それぞれ活動しています。

Q・各分野に特化したグループが活動しているんですね!いずれはお米やハチミツの商品も『みつせファン』で購入できそうですね。
A・そうなるといいですね。実はこの8つある組織も発足当初は勢いがあったのですが、やはり時間が経つと活動も少なくなっていってしまい…、『みつせファン』は活動への熱意を取り戻す起爆剤になれば、と願っているんです。実際、「みつせ菊芋研究会」は今年度から作付面積を増やすという新しい挑戦を始めました。

Q・ほか、イベントや勉強会を行う「文化芸術分化会」などもありますね。連携を深めていけば、『みつせファン』ももっと盛り上がりそうです。
A・各グループには村民で三瀬村の活性化に興味がある人は誰でも参加できます!やはり、『みつせファン』を見て、商品をご購入されてファンになっていただいた方には、実際、三瀬村に来ていただきたいという思いがあります。アクセスの良さからよく「三瀬村に移住したい」という声も観光客の方からいただいているので、ぜひ実現できるよう受け皿を整えていきたいと考えています。各グループ以外でも、三瀬村を盛り上げようと頑張っている団体がいますが、そのメンバーと協力し合っても行きたいですね。

Q・この時代ですから、ネットの力を利用するのもいいですね。三瀬の自然を感じられるオンラインイベントもできそうです。都会にいながら、緑に癒されたいです。
A・そうですよね!そういうのもアリですよ。田中君、よろしく頼みますよ(笑)。実際に、暮らしている人は高齢者が多いですが、観光客は若い人が多いんです。また、福岡や佐賀が近いので、暮らさずとも通ってくる方も多いんですよね。とくにカフェブームの時は「三瀬の水が美味しいから」という理由で、山奥でひっそり隠れ家的なカフェをオープンさせる方も多かったんです。休日になると福岡から水を汲みに来られる方も多いですからね。

Q・私も三瀬村は大好きです。観光地も点在しているので、休日でも混むことがない点も良いですね。でも、佐賀を知らない方からしてみれば、「自然豊かな村」でくくられてしまう気もしますが、その差別化においては、商品を多く展開している「アサヒ・アグリ佐賀」の藤野兼治社長はどう思われますか?
A・(藤野社長)私は生まれも育ちも三瀬村で、平成23(2011)年に、「農業生産法人 アサヒ・アグリ」を立ち上げました。当時から健康に目を向け、アレルギーの人でも食べられる『米粉』を使った麺和菓子をつくって販売しています。私は、三瀬村は“水の入り口”と呼んでいます。よく昔から水が合う、合わないというでしょう。三瀬村に海はないですが、脊振山系の三つの川が流れ込んでくる土地だから、三つの瀬=三瀬なんです。この水でつくったあんこだから美味しい、と良くお客様に言われますが、「なぜ美味しいか」という化学的根拠を『みつせファン』ではPRしていきたいと思っています。 例えばお米もそう。「佐賀のお米は美味しい」と言えばそれまでで終わってしまう。佐賀のお米にもいろいろブランドがあるわけです。米が育つ土壌としては、三瀬村と佐賀平野では違います。食べた人が感じる美味しさは同じかもしれませんが、その米が持つ成分や役割を伝えることで、もっと真正性や説得力が増すと思っています。

Q・それはぜひ知りたいところです!本当に身体に良いのか、健康に良いのか、昨今、基準があいまいというか、ユーザーに委ねられているところはありますよね。
A・(藤野社長)私は30年以上、研究してきたので、ぜひそういった面も『みつせファン』とそれ以外の里山の商品との差別化にしたいですね。情報サービスという分野からも三瀬村をPRしていく予定です。また、過疎化、高齢化といってもそこが逆に三瀬村の魅力でもあります。だって、70~80代が現役でバリバリ働いているわけですから。それって年を重ねても、健康で元気で働けるという証拠でしょう?

―そうですね!三瀬村に暮らしているからこそ、年を重ねても健康で元気に働ける。そのおすそわけを『みつせファン』から私たちはいただきたいと思っています!期待しています。ありがとうございました!


桃薫桃薫
桃薫桃薫
標高400m、「みつせ高原」との呼び名でも親しまれている三瀬村。夏には避暑地として多くの観光客が訪れる。冬は雪が降ると九州では珍しく、あたり一面銀世界となり、四季を肌で感じられる

苗苗
苗苗
【左上】今回インタビューに同席してくださった、『みつせファン』店長の田中祐介さん(真ん中)、「アサヒ・アグリ佐賀」社長の藤野兼治さん(右)、地元で不動産業を営む納富隆司さん(左)
【右上】スタッフの藤野あけみさん(左)と佐藤法子さん→紹介ページはコチラ
【左下】スタッフの川﨑敦子さん(左)と田中正代さん→紹介ページはコチラ
【右下】三瀬村はフランス・ボルドー地方のクサック村と姉妹都市関係にあり、盛んに交流が行われている

>> 「みつせファン」の商品はこちらからご購入いただけます。

取材:森泉敦子

  


Posted by さがファンショッピング  at 15:01Comments(0)みつせファン