店主訪問記

2010年09月27日

有明の風 東島 典子さん

有明の風東島典子さん
有明の風
東島典子さん

食べてから初めて語れる、
それが、佐賀海苔の美味しさ。

 10月、有明の海から元気な風が吹いてくる。そう、海苔漁業のシーズン到来だ。広々とした海にのりひびといわれる竿がズラ-ッと並び、秋がやってきたなあと季節の移り変わりを実感してホッとする。同時に「海苔はおにぎりの包装紙じゃない!」という言葉が頭によみがえる。全国トップの海苔産地、佐賀・有明海。漁協を通さず直販でこだわりの海苔作りを行う頑固職人、その名も『有明の風』-。前回訪問から1年ちょっと。今回は、職人を支える縁の下の力持ちにその後、これから、話を聞いてきた。



Q・『さがファン』唯一の海苔直販、ショップオープンして1年ちょっとが過ぎましたが反響はいかがですか?
A・3年前から直販を始めて、その一環として『さがファン』にも参加しましたが、まだまだですね。元々10年前から自社のホームページでネット通販を行っていましたが、やはり海苔を注文される方は年輩が多く電話注文になりますね。お客様はリピーターがほとんどで、ギフトでもらって美味しかったから家庭用に頼んだ、というパターンが多いです。


Q・『有明の風』さんは『めんたい塩のり』など面白い商品開発も行っています。若者にウケそうな気もしますが…?
A・先日、遠方から若い人のグループが工房まで『めんたい塩のり』を買いに来られたんです。どこかで食べられて、わざわざ探して来られたみたいで…。若者の海苔離れを心配していただけに、すごく嬉しかったですね。そういう方々には『さがファン』をぜひ利用していただきたいんですが、なかなかそこまで行き着かないんです。


Q・つまり、“食べる”までのきっかけが難しいということですよね。スーパーに行っても見た目、どれが美味しい海苔かわからないですし…。
A・佐賀を代表する特産品であっても、海苔は食卓の主役ではなく脇役に過ぎませんからね。だけど一度食べたらその魅力は必ずわかっていただけるんですよ。この一年、福岡や久留米の百貨店・岩田屋さんの催事に呼ばれて販売を行ったんですが、試食を行ったら大好評で…お客様のリクエストも多くなったんです。


Q・5月の「RKB探検九州フェア」の「オリジナル厳選食材おむすび」で『極上焼のり』が選ばれました。その後、福岡の料理店から引き合いがあったりしたそうですね。
A・思わぬところで出会いがあるもので、JR九州が出している通販カタログの掲載もフェアで試食された方から直接、熱烈なお誘いを受けたんですよ。直販なので価格の安さについて「本当に高品質なもの?」と最初は疑う海苔好きな方も多いのですが、まずは味付けも何もしていない『極上焼のり』を試食されるとたいてい納得されていますね。


Q・焼のり以外の味のりももちろん、『塩のり』や『めんたい塩のり』も食べ出したら止まりません…こちらは余った海苔を使っているのですか?
A・いえいえ、こちらも『極上焼のり』と同じ海苔を使っているんですよ。海苔は二期作で毎年11月から3月にかけて収穫していきますが、一期に4~5回、二期には9~10回ほどわけて摘んでいきます。この時、一番最初に摘んだ海苔が「一番摘み海苔」や「初摘み海苔」と言われ、高級海苔となり、後の回になるほど色が浅くなっていきます。海苔は規定の大きさ(21cm×19cm)を1枚と数え、こちらを漁協のセリに出して1枚いくら、として市場に出て行くのですが、一番摘みの高級海苔と最後に摘んだ海苔とでは約10倍の値段の差があるんですよ。『有明の風』では“一番摘みの一番いい海苔”をモットーにしているので、どの海苔も同じ品質の海苔を使っているんです。だから素材の味そのものを大事にして、調味料でごまかしたり濃い味にしないよう、商品開発にも気を遣っています。


Q・なるほど。直販だからこそ実現できることなんですね。前回はご主人の『店主訪問記』で熱い海苔の洗礼を受けました!奥さまのサポートもさぞ大きかったのでは?
A・もう言葉にできないほど大変でした(笑)。数年前、椎間板ヘルニアになり生産作業ができなくなったんですが、それまでは一緒に海に出てたんです。主人は海苔のこととなるとそれは厳しく、海に出ると女性も男性もありませんでしたね。自然相手の仕事ですから、ちょっとした波、風が命とりに…一度、船が沈みかけたことがあったんですよ!まして自分の理想の海苔を作るとなると命がけです。ずっと20年一緒にやってきましたが、思い返すと苦労の連続で…よく耐えてきましたね(笑)。直販も大きなチャレンジでした。でもお客様から「こんな海苔食べたことない」という言葉を直接もらった時は、本当にやってきてよかったと思います。


Q・こだわり抜いた結果や答えは海苔の味そのものですね。現在は竹立ての真っ最中ですが、いよいよ海苔のシーズンがやってきました。今夏の猛暑は影響しますか?
A・残暑の中の竹立て作業は体力的にきついですね。主人には老体に鞭を打って頑張ってもらわないと(笑)。今年は海苔の乾燥機を最新のものに入れ替えたのですが、竹立てだけは機械に頼れませんから。長いもので12mはあり、現在は劣化を防ぐため樹脂製の竿を使っています。そちらを手作業で海底に突き刺していくんです。あまり水温が高いと海苔は育ちませんから、通常より作業が2週間ほど遅い時期になるかもしれません。


Q・商品開発の方では10月に『コラーゲン塩のり』を発売予定らしいですね!
A・そうなんですよ。1年に1つ、新商品を出していきたいと思っているんですけど、昨年の『めんたい塩のり』は石垣の塩と明太フレークのブレンド具合に3ヶ月もかかりました。商品開発はもっぱら私の仕事なのですが、コラーゲンに関しては主人が話をもちかけてきたんですよ。テレビや雑誌をよく見てチェックしているみたいです(笑)。「こういうことをやりたい」と常々口に出していると面白いもので、ちょうど知り合いがコラーゲンを作る会社に勤めていることがわかって、話が進んでいきました。味は『塩のり』と変わらないのですが、どう売っていくかが今後の課題ですね。


Q・楽しみですね!ほかにも海苔を使って商品開発の話がよくあるんですって?
A・どこから話が広がったのか、ここの工房にはいろんな方が来られるんです。情報交換の場にもなっていて楽しいですよ。ただ、あくまでも本業は海苔の生産で、商品開発は余力の部分です。海苔に対する主人のこだわりをサポートしたい、そのこだわり抜いた海苔を、直接人に食べてもらいたい。それ一心にやっています。だから、入口はいっぱいあった方がいいなと思って。海苔から離れていた人たちがどこからでもまた、海苔に近づけるように。いつか“海苔専門店”を作るのが夢ですね。食べる海苔はもちろん、体につけるもの…化粧水、シャンプー…本当のヘルシー志向のお店を作りたい。夢は壮大です!!


店主
夫婦二人三脚で海苔の美味しさを伝えている。『有明の風』はご主人のいとこ夫婦と一緒に2家族で運営している。


めんたい塩のり
大人気の『めんたい塩のり』。明太のつぶつぶは専用の接着剤を使わず、自然に海苔にくっついている。


石垣の塩
味付けに使う塩はミネラルたっぷりの『石垣の塩』を使用。


海苔一式
「塩のり」は沖縄・石垣島産の塩を使った、「有明の風」の一番ヒット商品


こどもたち
海をきれいにする活動も地域の子どもたちを巻き込んで行っている。
「最初も海、最後も海」-環境活動を通した体験型観光「ブルーツーリズム」をいつか本格的に行うのが夢だそう


>> 有明の風の商品はこちらからご購入いただけます。



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Posted by さがファンショッピング  at 13:57 │Comments(0)佐賀海苔「有明の風」

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