店主訪問記

2009年11月28日

マルボーロ本舗「北島」弟子丸宏美さん

マルボーロ本舗「北島」 北島本店 弟子丸宏美さん
マルボーロ本舗「北島」
北島本店 弟子丸宏美さん

お菓子は目的であり、手段。
お客様に合った"ひとつ"を提供していきたい。


 ご当地の家庭料理や生活習慣を語る機会はそうない。佐賀に生まれ、佐賀で育った人にとっては「丸ぼうろ」もそのひとつに入るのではないか。形はごくシンプルで、全く同じに見えても、その背景にはさまざまな思い出がある。それを語り出したら際限なく広がっていくだろう。季節の和洋生菓子をそろえつつ、「丸ぼうろ」一筋の姿勢を崩さない「北島」さんの創業は、元禄9年(1696年)。佐賀では老舗菓子屋の代表を務め、長年にわたり、人の数だけ思い出を提供してきた「北島」さん。「さがファン」では、昨年のお歳暮売上でトップを誇り、時世に関係なく人々の心をつかんで離さないことを証明してくれた。今回は現状が示すように、少ない語りの中でも歴史が培った経験と変わらない信念が伺えた。



Q・「北島」さんは老舗中の老舗ですが、決してイメージを壊さず、お客様の期待を裏切りませんね。
A・菓子職人の力ももちろんですが、私たち接客担当も日々、お客様にとって心地良い空間であってほしいと店頭に立っています。接客は直接、お客様と会える唯一の存在ですので、お客様にとってはいわば「北島の顔」でもあるわけです。「さがファン」も創設当時から参加させていただいていますが、最初は顔が見えないコミュニケ-ションに戸惑いました。今ではネット上やお電話でのやりとりも、だいぶ慣れてきましたね。


Q・弟子丸さんは、接客をされてどれぐらいになるんですか?普段、お客様と接する上で大切にしていることを教えてください。
A・今年で10年目になります。ずっと本店の店頭販売担当でしたが、ここ数年では通販の担当もしています。店頭でも通販でも、接客をする上で大切にしているのは、ありきたりのようですが「笑顔」。ネットや電話のやりとりだと笑顔の雰囲気は伝わりにくいので、喋り方、メールの書き方なども勉強しました。手段は変わっても、気の遣い方を少し変えるだけで、北島ならではの接客の心は伝わるんだな、と感じています。


Q・接客って一時が万事、ですからね。特に「北島」さんのような老舗になると気の遣いどころはたくさんあると思います。何か印象に残るエピソードはありますか?
A・ネット販売で、「想像力」って大事だなと痛感したことがあります。あるお客様がネットでお父様のバースデープレゼントに「丸ぼうろ」を頼んでいらっしゃったのですが、包装等の件で、直接ご自宅にお電話したんですね。そしたら、同居されているお父様本人が電話口に出られまして。何も考えずに話していたら、どうも娘さんはお父様にサプライズするつもりでネットに申し込んだようなんです。つまり、その娘さんの企画を何気ない電話の一本で壊してしまったんですね。お客様の「あえてネットで注文したのに…」という気遣いに気づかず、その時はかなり反省しました。お詫びも上層部まで出てくるぐらい、大事になったんです。しかしその後、そのお客様からはお祝い事のたびに、ネットで注文をいただくようになり、メールのやりとりも行ったりして、大きな経験になりました。


Q・問題が起きた時の対処の仕方、対応の良さがお客様に伝わったのでしょうね。お客様一人ひとりを大切にする姿勢が伺えますね。
A・ほかのお菓子屋さんがどんな接客の対応をされているかはわかりませんが、「北島」では、やはり「安心感」に重きを置いています。制服ひとつにしても、各店舗のスタッフで話し合って決めています。お客様が心地よくお菓子を選んでいただけるように、アットホームでありながら、特別な空間を作れるように気をつけています。お客様の目的に合わせたお菓子を提供することが私たちの使命ですから、迷っているお客様の背景や想いを上手に引き出せるように努力しています。お菓子という手段ひとつで、いろいろな世界が広がると思うと、形は地味で目立たなくても、特に「丸ぼうろ」なんかはとても大きな存在ですよね。この存在をずっと守り続けていかなければ、と思いますよ。


Q・「さがファン」でもずっと売上は上位ですし、去年のお歳暮ではトップでした。人々に支持される理由は何だと思いますか?
A・おかげさまで、ネット販売に携わることで佐賀だけではなく、「丸ぼうろ」の存在が全国の人々に知られることになりました。見た目が地味なので受け入れられるかどうか、と思っていたのですが、味を知ってくださったお客様が口コミで広がり、関東地方のリピーターが増えています。正直、特別なことは何もしていないんですよ。創業当時から味は変わっていないですし、大きくアピールしたわけでも、何もしないわけでもない。ただ、昔から美味しいと言われてきたものを、変わらず継続して提供することができている、というところでしょうか。もし、自分が食べるんだったら…と思うと、接客の仕方も変わってきます。想像力と真心、この2つはこれからもずっと大事にしていきたいですね。


オブリガード
最近発売、本家・ポルトガルのマルボーロを再現した「オブリガード」。カチカチの表面にバターとしょうがパウダーを塗ったスパイシーな味!(※オブリガードは本店と佐賀市内の支店でのみ販売中)


北島外観
マルボーロの生まれた地、ヨーロッパをイメージした、ブルー&イエローが北島カラー。 白山町本店には工場が隣接されている


北島内観
開放的で高級感あふれる店内。取材をしている間も、平日だというのにお客さんの足が絶えることはなかった


スタッフのみなさん
丁寧な接客が印象に残るスタッフの皆さんの素顔は気さく。「店頭でもお待ちしております!」


テレビ画面
店内では一連の製造工程を描いた映像をモニターで観ることができる


まるぼうろプティング
カップにミルクを注ぎ、レンジで温めるだけでできる「マルボーロプティング」は北島独自の提案。プティング用のカップ&ソーサー(有田の深川製磁のもの!)も販売


和菓子
色鮮やかで美しい和菓子は、1個から販売している。他の焼き菓子もバラ売りで売ってくれるのもうれしい

北島入口
本店の前、白山名店街の入口は江戸時代初期に創始された佐賀独特の染色品・鍋島更紗の発祥の地の碑が建っている


白山名店街
本店の真横を通る白山商店街は、かつての長崎街道~シュガーロード。ここを通って異国の情報や砂糖を含む物資が運ばれていき、全国に広がっていった。商店街を抜けると歴史民俗館のある街道に出、そしてずっと小倉まで続く


マルロー君 マルロー君
「食べられない丸ぼうろ」として登場したキャラクター、マルロー君。小さいお子様に人気で、親近感あふれる店内づくりに一役買っている


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Posted by さがファンショッピング  at 14:54 │Comments(0)マルボーロ北島

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