2018年04月01日
「理研農産化工株式会社」食品開発チーム
理研農産化工株式会社
食品開発チーム
木原裕美子さん(左)、陣内陽子さん(中央)、田中晴美さん(右)
手軽なのに本格派!「houcook」新登場
九州産小麦粉によるミックス粉が進化!
九州産小麦粉を使った、安心&安全の商品を提供し続けている『理研農産』さん。昨年100周年を迎え、さらなる飛躍を見せている。その一つが新商品の開発だ。現状では業務用7~8割、家庭用2~3割の割合で生産を行っているが、近年の健康志向ブームにおいてエンドユーザーの需要も高まり、家庭用商品が増えつつある。そして今年4月、新しいプレミックスブランド『houcook』が新登場!手軽なのに本格派、今の時代にピッタリマッチしたミックス粉をつくりあげた、食品開発チームの3人にお話を伺った。
Q・最近では、佐賀市内のスーパーで『理研農産』さんのミックス粉が良く見られるようになりましたね。どのように食品開発を行っているのですか?
陣内:現在、「食品開発センター」では私たち現場部隊3人と全体を見るアドバイザー、部長、と5人体制で食品開発に携わっています。新商品開発の企画はケースによりますが、今回のプレミックス(ミックス粉)ブランド『houcook』は私たち、女性目線から見て「あったらいいな」からスタートしたプロジェクト。昨年4月に始めて、商品化までちょうど1年かかりました。
田中:『理研農産』で食品を開発するにあたって、絶対にブレない点は“安心&安全”。極力、国産、九州産、そして佐賀産小麦粉を使った品質の高さです。私たちの役割はそのベースとなる小麦粉にでんぷんや糖類、油脂などを微調整しながら加え、ユーザーさんのニーズに沿ったミックス粉をつくること。何よりも配合が一番大切になってきます。
陣内:毎日毎日、配合、試作を何百回と繰り返すんですよ。配合も大事ですが、焼き色や揚げ色のチェックも日々行っています。何といっても美味しくないと意味がありませんから、営業さんや他部署の方も巻き込んで、常に仕事中は食べていますね(笑)。
木原:私は開発部に配属する前は、品質保証部で11年間、データ解析を行っていました。品質保証部との連携もとても大切になってきますね。今回も常に情報交換を行いながら、『houcook』ブランドをつくりあげました。
Q・忙しいお母さんでも、お子さんと一緒にお菓子がつくれる『houcook』ブランド。手軽さと本格志向が特長とのことですね?
陣内:子どもたちに手作りのお菓子をつくってあげたいけど、時間がないというお母さんが多いと思うんです。今回の開発にあたっては、いかに“家庭におとしこむか”がポイントでした。九州産小麦粉を使っての安心&安全の提供は当たり前、そして今求められているものとは…?と考えた時にやはり「時短」だったんです。もちろん美味しさは前提です。
田中:そのためには配合を考えるだけではなく、レシピ開発も同じく重要です。最終的にはパッケージにイラスト付きの簡単レシピを載せるのですが、それまでさまざまな素材と組み合わせて、いかに手軽に本格的な味が出せるかを追求していきました。
木原:今回はみんなで話し合いながら、ブランドの核となる3つの商品をつくりました。配合やレシピが決まるまで半年、そしてパッケージ、ネーミングづくり、量や価格の決定などの商品化に向けて半年間かけています。
Q・それぞれの商品を開発する際、苦労した点などエピソードを教えてください。
木原:ずっと新商品開発に根を詰めるのではなく、通常の仕事と併用しながら携わっていたので、バランスはとれていたと思います。また、常に周りに人がいるので意見が聞きやすく、煮詰まるということはなかったですね。私が担当した商品は『まぜるだけのケーキミックス』でしたが、とにかく着地点を“わかりやすく、簡単に楽にできる”に定めて、配合を行って行きました。
陣内:この『まぜるだけのケーキミックス』はスゴいんですよ。バターもいらないし、卵とサラダ油と水だけ。しかもハンドミキサーいらずで泡立て不要、焼くまで5分でできちゃうんです。私は商品開発で煮詰まった時、木原さんの試作を良く食べて癒されていました(笑)。
木原:わざわざ買い物にいかなくても家にある材料でできるケーキです。200g使い切りで15cmのワンホール分なんですが、カップケーキにしてもいいんですよ。ヘラで材料を混ぜるだけで、小さなお子さんでも簡単にケーキができるところがポイントです。チョコチップやバナナなど入れるのもオススメです。
陣内:私は『朝の焼きたて ころっともちパン』を担当しました。苦労したのは、どこまで“モチッと感”を出すかということ。人によって、“モチッと感”の好みは違うし、一体モチッととはなんなのか、どのモチッとを目指すのか、納得いくまでとことんみんなで試食して、数種類のでんぷんを何度も何度も微調整して配合し、“モチッと感”という食感の落としどころを探りました。
田中:『朝の焼きたて ころっともちパン』は試作で良く食べましたね(笑)。レシピ開発にあたっても、ひじきを入れたら意外に合ったり、ゴマやチーズ、ベーコンなど、いろいろ冒険にお付き合いしました。食べ応えもあって、まさに朝食にピッタリだと思います。
私は『朝の焼きたて スコーンミックス』を担当しました。スコーンというと、どうしてもハードルが高いイメージがあります。そこを払拭できる商品に仕上げられるよう、簡単で分かりやすいレシピ作りに徹しました。一旦、配合が決まった後、佐賀女子短期大学の学生さんに試作モニターをお願いしたんです。その時、レシピはできておらず、文字のみの工程情報だけお渡ししました。試作を見ると、自分が思い描いたイメージと違っていたんです。大きさや火通り、そして食感…スコーンというと、コーヒーに合うような小ぶりでサックリとした食感をイメージしていたのですが、モサモサでパサパサの食感という試食の感想でした。これはまだまだ改良が必要だと思い、レシピ開発の重要性、イラストでイメージを伝えることの大切さも改めて感じましたね。
Q・そして満を持して、4月から佐賀市内のスーパーの店頭に『houcook』が並びます。『さがファン』でももちろん販売です!
陣内:今回、新商品開発にあたっては幼稚園生である娘と一緒に『朝の焼きたて ころっともちパン』を実際に作ったのですが、大きな力になりました。こんな小さな子でもできて、しかも美味しい。働く忙しいお母さんにとって、自信を持ってオススメできます!パン用ミックス粉『サクサクトーストミックス』や『モチモチトーストミックス』に代表される『理研農産』のミックス粉においては、地元のママ友から直接声をいただくことも多く、「転勤しても買いたい!」と言っていただいた時は嬉しいですね。やっぱり、エンドユーザーの方の生の声を聞くと、仕事のモチベーションも上がります。
木原:こうやって1年間かけて新商品をつくってみて、とても楽しかったですね。自分たちがつくった商品が実際にお店に並んでいるのを見ると、純粋に嬉しいです。また、夏休みに開催される「親子パン教室」でエンドユーザーさんと直接交流できることも、商品づくりの刺激になっています。親子はもちろん、お菓子好きの方に『まぜるだけのケーキミックス』でお菓子づくりを気軽に楽しんでいただきたいですね。
田中:来る日も来る日も、何百回も配合、改良を繰り返し、商品づくりは時には壁にぶち当たることもあります。その苦労があった上で、世に商品として出ることができる。しかも手にとったお客様が美味しい、と食べてくれる…食品、商品の開発はとてもやりがいのある仕事です。コーヒーや紅茶にピッタリな『朝の焼きたて スコーンミックス』、家でカフェ気分をぜひ味わってください。
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人気の『パン用ミックス粉』に、一番の売れ筋で便利なチャックが新たについた『九州薄力小麦粉』、国産のあごを入れた『九州産お好み焼き粉』は『理研農産』ならではのオリジナル。使い切りタイプの『houcook』は、ミックス粉に混ぜる食材をさまざま試して、アレンジも楽しめる
地元のスーパーとタッグを組んだ「親子パン教室」をはじめ、イベントにも積極的に出店。インスタグラムでは「♯九州産小麦」「♯安心安全」のハッシュタグから『理研農産』の商品に出合うことも
5人の研究者たちが活躍中の「食品開発センター」。粉の絶妙な配分と向き合う毎日だ。センター内では焼き色を見る業務用の鉄板と家庭で調理することを想定してのガスコンロ、2つを使用している
センター内にはいい匂いが…。他社の商品と比較しての唐揚げ、天ぷらの揚げ比べはしょっちゅうのことだそう。食感、焼き色、揚げ色を何度もチェック
取材:森泉敦子