店主訪問記

2016年12月28日

「理研農産化工株式会社」 橋本 和久さん

「理研農産化工株式会社」 橋本 和久さん
理研農産化工株式会社
取締役管理本部
副本部長
橋本 和久さん

100周年を迎えた老舗による挑戦
社員一丸となり九州から全国へ

 今年100周年を迎えた『理研農産』さん。製油&製粉を一挙に引き受ける、日本でも2社しかない企業の一社だ。この10年で家庭用商品の開発・販売に取り組み、『さがファン』でもその動きを当時から追い続け、変遷をここでお伝えしてきた。製粉業界での常識は小麦の約9割が輸入だが、国産という枠を超え"九州産"に特化して原料を追求。北海道に次ぎ全国第二位の麦生産高を誇る佐賀県を代表し、九州産の小麦「ニシノカオリ」「チクゴイズミ」を100%使った商品『九州シリーズ』を独自に展開している。時代は空前の健康ブーム。国産・九州産の原料に視線が集まる今、新たな時代に懸ける老舗の思いを伺った。

Q・今年の100周年イヤーには、商品もリニューアルが続くそうですね。
A・特にこの2年間では、大手チェーンスーパーの買収など物流をとりまく世界が大きく変わりました。それに合わせ、既存の家庭用商品もリニューアルという形での変化が必要だったんです。そこでまず当社がずっと力を入れてきた、佐賀産小麦を100%使った手延べうどん『ほとめく』をリニューアル。個食のニーズを意識して100g縛りを50gとし、パッケージも手にとりやすいよう、スリム化しました。

Q・(試食)通常のうどんより細いんですね。モチモチとした食感ですが、のどごしはスッキリ!どちらかというとそうめんのような。
A・製造業者も長崎・島原の会社に変え、島原そうめんの技法を生かしたうどんづくりに シフトチェンジしました。目指すは高級品として知られる、長崎・五島うどんのようなクオリティー。当社の看板商品であるプレミアムオイル『こだわり原料 国産大豆油』と共にギフトセットとしても販売し始め、これがなかなか好評なんですよ。

Q・『理研農産』さんといえば九州産にこだわった商品が特長ですが、エンドユーザーの反応はいかがでしょう?
A・この2年は、国産、九州産の反応がとても良いですね。国内ではパンにいたっては99%が外国産の小麦を使用していますが、当社の九州産シリーズ『蒸しパンミックス』は前年より、売上が上がっています。他のミックス粉より金額は高いですが、それだけ消費者が国産商品の安全性を意識し始めたということでしょう。当社の一番の売れ筋は『九州薄力小麦粉』で、500gと1kgの商品があります。これもまたニーズに対応し、近々より手軽に使用できるよう、500gの商品のパッケージを変えてチャック付きにする予定です。

Q・理研さんの軸となる『九州産シリーズ』がどんどん全国に広まっているんですね。
A・以前に比べ、大分広まりましたね。空前の健康ブームという理由もあり、ヘルシーで美味しく、安全な食を求めて我々の商品を、多くの方から購入していただくようになりました。ずっと『理研農産』がこだわってきたことが、ようやく全国に広まりつつあります。最近では今まで国産にあまりこだわらない傾向にあった大手製粉会社が、インバウンドの影響もあり国産原料の商品づくりに力を入れ始めました。ですから、我々が以前から九州産にこだわってきたとしても、新たな対策がこれから必要です。『ホットケーキミックス』は来年、分包タイプの新商品を出すことが決まっていて、一人でもホットケーキやお菓子づくりが楽しめるようになりますよ。

Q・粉、といえば大容量が常識で一人暮らしの人には持て余し気味なところが正直あったので嬉しいですね。用途に合わせたミックス粉の動きはどうでしょう?
A・まさに群雄割拠ですね。ミックス粉が登場したのもここ10年ぐらいのことで、未だに田舎の方に行くとミックス粉は売れないんです。昔は薄力粉で何でも作っていましたからね。我々は「原料の小麦粉は100%九州産」とパッケージに緑色のマークをつけて差別化をはかってきましたが、最近ではから揚げ粉やたこ焼き粉は有名店とコラボしたミックス粉や液体の手軽な商品が台頭してきました。ここに消費者は国産・九州産を求めていないと踏んで、今、配合の見直しやデザイン変更など、他商品とのバランスを考えて商品のリニューアルを考案中です。

Q・今年、いよいよ100周年ですね。大きな節目の年となるのでしょうか。
A・地元・佐賀に貢献したいという企業理念のもと、商品づくりを行っていく姿勢は変わりません。現在、製粉も製油も業務用7~8割、家庭用2~3割の割合で生産しています。利益だけ追求するなら業務用に特化した方が良いですが、国内には大手製粉会社、製油会社がひしめき合っている状況です。大手企業と差別化をはかるためにも、地方の企業は独自のカラーを出していかなければなりません。私たちの場合は、九州で生まれ育った農産物やそれに携わる人々を応援したい、九州の農産物を消費者の方へお届けするきっかけを作る手助けをしたいという想いから、原料を九州産にこだわること、地産池消を積極的に提唱することなんですね。地方の企業においては、どこに価値を置くか、というところは非常に大切になってくると思っています。

Q・老舗の新たなるチャレンジ、どのような変革が予定されているのでしょう。
A・今年、『理研農産』は大変革を実行します。これまでは製粉=佐賀工場、製油=福岡工場といった位置づけで、ほぼ別会社といっても良かったのが事実です。今まで製粉部、油脂部等と営業部門も粉と油に分けていたのですが、組織を一変し、第一営業部、第二営業部と営業統括します。それにより、粉を売っていた営業担当が油も手がけるようになり、よりお客様に提案しやすくなるというメリットと当社ならではの強みを出していきます。
当然、社員たちも新たな知識習得が必要になってきますが、可能性もさらに広がっていきます。社員同士の交流も増えることでモチベーションの向上も期待できますね。また、福岡工場では5,000坪の土地に新しい倉庫を建設、佐賀工場では築70年の製粉工場を一新、新製粉工場を建設します。製油と製粉、福岡と佐賀が一緒になり、次の100年に向けて社員が一丸となる時がまさに今年。新たなるスタート地点に立ち、攻めの一手で元気な会社を目指していきます!



看板工場1
おなじみ、外国人シェフがニッコリ笑う大看板は大阪、東京にも進出中!

工場2工場3
小麦の貯蔵庫の量はなんと1万1300トン!巨大さに圧倒。

九州シリーズ1九州シリーズ2
『九州シリーズ』はパッケージに「原料の小麦粉は100%九州産」と緑色のマークがついているので、ぜひスーパーで探してほしい。

ほとめくほとめく2
佐賀県産小麦を100%使った、佐賀麦手延べうどん『ほとめく』。ギフトにピッタリな商品だ。「ほとめく」とは佐賀地方の方言で他人にごちそうしてもてなす、という意味。

開発1開発2
開発3開発4
工場隣接の「食品開発センター」では7人の研究者たちが活躍中。粉の絶妙な配分と向き合う毎日だ。ここから『理研農産』の商品たちが生まれていく。

開発5開発6
センター内にはいい匂いが…。他社の商品と比較しての唐揚げ、天ぷらの揚げ比べはしょっちゅうのことだそう。

>> 理研農産化工の商品はこちらからご購入いただけます。

取材:森泉敦子



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Posted by さがファンショッピング  at 17:00 │Comments(0)理研のパンミックス

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