店主訪問記

2013年09月30日

おいしいカレーのお店 白山文雅 上野茂和さん

白山文雅オーナーシェフ上野茂和さん
白山文雅
オーナーシェフ
上野 茂和さん

美味しいのは当たり前。
突き抜けて感動が味わえる存在へ―。

 ほぼ、概念がないといっても過言ではない“カレー”。この独特かつ自由な料理をフランス料理のようにワンランク上げた存在へと変化させ、「文雅のカレー」というブランドとして確立。現在、不動の存在感を誇る「白山文雅」さん。オーナーシェフはご存知、2代目の味に惚れ込み素人から10年修行、独立して5年目となる上野さんだ。先代の味とブランドを守りつつ、愛するカレーへの飽くなき探求を続ける3代目・上野さん。さて、どんな話が飛び出すやら…?


≪上野さんの熱い語りはコチラでも≫
★「記憶に残る味を追求して半世紀―」…2011年6月
★「人生を捧げたカレーマスター、情熱の味」(口コミグルメコーナー)…2012年11月


Q・昨年、ご結婚されたそうで…おめでとうございます。状況は変化されました?
A・元々、妻は店のホールスタッフだったので、店の内情を良く知っているんですよ。結婚してから、経理など経営の方を任せられるようになりました。ですので、私自身はよりカレーに向き合って、料理を追求できるようになったことが嬉しい変化ですね…ですが、そんな嬉しい状況も半年で終わってしまいまして…、現在、妻が妊娠中で再び私が経営と料理の管理…と二足のわらじ状態へ戻ってしまったんですよ。


Q・そうなんですか! それでもおめでたいことですね。これからは夫婦二人三脚ですね。
A・私と結婚するということは、カレーと結婚するってことですから(笑)、それを理解してくれた上ですので、とても助かっています。私の気づかない点などもハッキリ指摘してくれますしね。しばらくは子育てでお店どころではないと思いますが…文字通り、夫婦二人三脚で今後やっていきたいと思います! また結婚してから、料理を突き詰めるのも大事ですが、スタッフたちが幸せに働く環境を整えることも大事だなあと思っています。


Q・先日、カレー専門誌を読んでいましたら、「カレーの聖地が何と佐賀にあった」と紹介されていましたよ。
A・はい、聖地と書かれてしまいました(笑)。最近、大和町の姉妹店だった「シャトー文雅」が別会社になりましたので、「文雅」の名前はここ、白山一つだけになったんですよね。シャトーで働いていた方からも「白山は絶対残さないかんぞ」って言われまして…。そのプレッシャーたるや、すざましいですよ! 私は最初1年間という約束で、先代に弟子入りしましたが、結局自分で納得が行くまで10年かかりました。実は1年、3年で弟子を止めても良かったんですよ。でも、先代との味と自分の味のクオリティーの幅が全然縮まらなかったんです。現在、先代から独立して5年目、先代の味との差を大分狭めつつ、自分の色も出していっている状態です。


Q・10年修行の上、5年目となると、ようやく余裕が出てきたころでは…?
A・私の場合は「先代のカレー」という規準があったので、ラッキーだったと思います。同時に、その存在にかなり苦しみましたが…。もし自分が10年も修業せず、自分なりのカレーを提供していたら、値段を安く設定していたでしょうね。もしくは、全然違う店になってしまったかもしれない…最初から「白山文雅」という絶大なるしばりがあったので、上を目指すことができたと思っています。独立当初は先代と比較され、厨房のカーテンを閉めてカレーをつくりたいと思っていました。実際に1年目は売上が激減、2年目も売り上げが落ちたらどうしよう…と日々、プレッシャーにさいなまれていたんです。


Q・比較は永遠のテーマですね。しかし、そんなエピソードがあったとは初耳です。
A・10年間修行していましたから、理屈抜きに体に染みついていたんです…“文雅流味付け”が。「最初に甘みがやって来て、うまみに変化し、最後は深みが訪れて締める」…これ、みそ汁でも同じなんですよ! でもどうしても、自分の味付けは先代の味付けとイコールにならない…。そんな時にお店に訪れてくれたのが、あの四川料理の料理人・陳 健一さんなんです。彼も偉大な父親・建民さんの存在に悩みあがいていたそうですが、ある時、「全く同じ味の料理はつくれない。違う人間なんだから同じになるはずがない」というあきらめに近い境地になったそうです。それから、大分気が楽になったと語ってくれました。


Q・随分、精神的なものも影響するんですね。それから上野さんにも変化が…?
A・はい。陳さんにお会いした後、「文雅のブランドを保った自分の店をつくろう」という気持ちが生まれました。先代も「俺を踏襲しろ」と言っていたので、2年目あたりからカレーのメニューを増やし始めたんです。まかないでバイトさんたちに出していた豆カレーが美味しい、と評判だったので商品化に値するように研究を重ねていきました。ほかタイのグリーンカレーも、従来の文雅では考えられないメニューですが、すべてのメニューにはきっちり、「白山文雅」のフィルターを通し、統一感を出した味付けとなっています。「甘み、うまみ、深みで締める」という…それで、売上も安定し始めて、店を前に進めることができたんです。


Q・制限のある空間で、自由に自分のカレーを追求することが出来始めたんですね。
A・私は幅広い年齢層のお客様たちに来ていただきたいんですね。というよりも、先代、先々代のお客様のことを考えると、3世代のお客様に楽しんでいただく責務があると思っています。佐賀という場所柄、「なんかわからんけど面白かね」って言われる場所であれば十分だなと思っています。現在ベースとなるソースが8つあり、さまざまなカレーメニューがありますが、あらゆるカレーを高いクオリティーで出したいという想いは揺らぐことはありません。「面白そう」という期待から来ていただいた方に対する、新しいカレーの啓蒙活動をしているっていう感覚もあるんですよ。


Q・プレッシャーから徐々に解放されて、自然体になってきたといったところでしょうか?
A・先代は常に「美味しいのは当たり前。突き抜けて感動を与えられるようになれ」と私に言い続けてきました。それから「カレーは突き詰めると、フランス料理のソースをつくよりも難しい料理だぞ」と。カレーって境界があいまい過ぎて、料理って思わない人も多いんですよね。ですので、とにかく一流といわれる料理店は食べ歩き、自分の舌を鍛えてきました。中でも元・福岡の警固にあったフレンチ「ビストロ炎」の大ファンで、良く通っていまして…小西晃治オーナーシェフに心酔してたんですよ。昨年、実はその憧れの小西シェフがスタッフを引き連れて、うちの店に来たんですよね!!


Q・小西さんといえば、現在、福岡・大手門のリストランテ「ジョルジュマルソー」のオーナーシェフですよね。敷居が高くて隣を通るだけで緊張します(笑)。
A・その小西シェフが、ご自身の店のスタッフが独立して無国籍料理店をオープンするから、私にカレーのつくり方を教えてくれって、尋ねて来られたんですよ。もう、驚くしかありませんでしたね。あの夢の小西シェフが…私にカレーを教えてくれ、と!! 興奮しましたね。理由を聞いたら、ただ「お前のカレーって美味しいから」ってことだったんですけど、私にとって、一つ大きなステップに上がったという感じです。お客様から「美味しい」「感動した」と言われるのもとても嬉しいですが、一流の料理人が自分を一流と認めてくれた、という感動は言葉に表しにくいですね!


Q・いやあ、それはすごいトピックですね…インタビューの最後に出てきましたけど(笑)。やはり上野さんは職人かつ、アーティストですよね。
A・モノづくりをする人は全員が職人でアーティストじゃなければならないって私は思いますよ。納得するまで突き詰める、そうじゃないと自信持って表現できないし、評価ももらえませんし、結果、お金もいただけない。今はスープカレーに挑戦中なんですよ。いわゆる札幌流の大衆的なスープカレーではなく、文雅流のフランス料理のエッセンスが効いたスープカレー…いつ、メニューに並ぶかわかりませんが、楽しみにしていてくださいね!


外観外観
佐賀市の中心地、白山に創業当時のままたたずむ「白山文雅」。多くの人々の舌を魅了してやまない。


内観内観
フランス料理店のなごりを残す雰囲気のある店内。接待にもよく使われるという。


色紙色紙
芸能人も多く訪れるが、飾られているのは上野さんが尊敬する一流料理人たちの色紙。


イメージエントランス
お店でも真空パックの商品は購入可能。週末には県外からカレーだけ目当ての客も多く訪れるそう。


>> 白山文雅の商品はこちらからご購入いただけます。




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Posted by さがファンショッピング  at 17:03 │Comments(0)白山文雅

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