店主訪問記

2021年08月16日

「理研農産化工株式会社」 鐘ヶ江 聡さん

店主
佐賀品質保証部
課長
鐘ヶ江 聡 さん

全国初!佐賀県産100%小麦粉
7月から先行販売中!!

 佐賀の食材=“安心&安全”というイメージがしっかり根付いた昨今。佐賀を代表する企業であり、製油&製粉事業を一手に引き受ける『理研農産化工』さんは、健康志向ブームが起こる前から「国産」・「九州産」に特化して、商品を開発、提供し続けてきた。その視線の先には、一つひとつの“家庭”がある。「毎朝、安心しておいしいパンを子どもに食べさせたい」「手軽にミックス粉を使って、ホットケーキを作りたい」…。今年、創業105周年を迎えた老舗・『理研農産化工』さんの挑戦は“佐賀県産100%”の小麦粉の開発・販売だ。その名も『九州佐賀産こむぎ子』。全国で小麦の生産高第3位を誇る佐賀県。県やJAさがとタッグを組んだこの取り組みは今、全国から熱い視線が注がれている。

Q・今回リリースされた、『九州佐賀産こむぎ子』が大きな話題になっていますね。こちらはいつ頃から商品開発がスタートしたのでしょうか。
A・商品開発においては、コロナ前の2019年からです。『九州佐賀産こむぎ子』はただの小麦粉ではありません。「純佐賀県産の小麦粉シリーズ」として「ソフト」(薄力粉タイプ)「マルチ」(中力粉タイプ)「ストロング」(強力粉タイプ)の3タイプを展開しています。パンやピザ、うどんにお菓子、どんな料理にも使える商品で、今まで「国産」・「九州産」をうたっていましたが、”佐賀県産100%”は初めてで、しかも全国初の試みです。これは新品種の小麦「はる風ふわり」によって実現しました。

Q・これは大きなトピックスですね。新品種の小麦「はる風ふわり」について教えてください。
A・佐賀県には「チクゴイズミ」「ミナミノカオリ」「シロガネコムギ」という3品種の小麦があります。それぞれ特徴があるのですが、それとは別にずっと前から新品種の開発が行われていたんです。これは小麦に限った話ではなく、農産物は常に新品種の開発が長い時間をかけて行われています。最近では2018年秋にデビューした、「いちごさん」が記憶に新しいですよね。これは佐賀県とJAさがと農家がタッグを組んで開発された20年ぶりの新品種です。「はる風ふわり」も選抜された麦を専門家が検討を重ねて、どう育てていくのがベストか等、農業試験研究センターで研究や評価が行われ、最終的に農家さんに作ってもらって誕生しました。佐賀県の農林水産部でも県をあげて、小麦の作付け面積を増やしていこうというビジョンを掲げており、農家さんへの栽培指導はJAさがが行うという、強力なバックアップ体制のもと生まれた新品種です。

Q・産地PRの活性化を佐賀県、JAさが、そして佐賀を代表する企業『理研農産化工』でともに行っていくということですね。
A・はい。今まで国産のパン用小麦粉には「ミナミノカオリ」を主にブレンドして製粉していましたが、「はる風ふわり」はよりタンパク質含有量が高く、パン作りに適した品種です。7~8年前から、試験を何度も繰り返し、今年の3月には佐賀県の奨励品種に選ばれました。よって作付け面積が広がったことで、“佐賀県産100%”の小麦粉『九州佐賀産こむぎ子』の商品開発が可能になったんです。私どももこの状況に合わせて、最新鋭の機械を導入した新しい製粉工場を建て、10月から本格稼働する予定です。

Q・それは楽しみですね。『九州佐賀産こむぎ子』はここ、食品開発センターで生まれた商品ですが、前回のインタビューで、商品化には大変な労力を要することに驚きました。
A・現在は、佐賀品質保証部の中に品質保証課と開発課があり、お互いに協力し合いながら商品開発、品質保証業務を行っています。以前は品質保証部と開発部が分かれており、互いの仕事があまり見えない状況だったのですが、同じ部になったことでより連携がとりやすくなりました。実際、『九州佐賀産こむぎ子』においては、ずっと開発一本だったスタッフ(陣内陽子さん)が品質保証課で1年修行するといった過程も経て、出来た商品です。

Q・そうだったんですね。陣内さん、今回の商品化で苦労されたことはありますか?
陣内・まず、最初は小麦自体を全然知らなかったことに戸惑いました。開発課では、もう小麦“粉”になってからのスタートなので、それ以前のことは品質保証のスタッフにお任せでした。品質保証課では小麦の成分分析や品質管理などを行っています。商品化にあたっては、まず品種の特徴から勉強しました。一種類の小麦では商品はできません。個々の小麦の品種の特性を生かし組み合わせることで、どう長所と短所を補い合うか、どう品質を一定化するかを研究しました。組み合わせ次第で食感も大きく違ってきますからね。おかげさまで、その学びを開発課に戻ってから存分に生かすことができたと思っています。

Q・『九州佐賀産こむぎ子』には3種類ありますが、それぞれの特徴を教えてください。
A・「はる風ふわり」はモチモチとした食感が特徴です。強力粉タイプの「ストロング」は「はる風ふわり」メインにブレンドした商品で、パンやピザに向いています。薄力粉タイプの「ソフト」は「シロガネコムギ」がメインで、お菓子づくりに良いですね。汎用性があるのが中力粉タイプの「マルチ」。イチオシの商品です。名前の通り、お菓子からうどん、パンまで幅広く使えて、どんな料理にも自由自在に使えます。ホームベーカリーをお使いの方は、「マルチ」「ストロング」2つの食感の違いを楽しんでいただきたいですね。

Q・ネーミングも斬新でわかりやすくて良いですね。商品名の“こむぎ子”にはどんな意味が込められているのでしょうか。
A・「一(はじめ)から了(おわり)まで」という意味を持つ「子」を使って「こむぎ子」と名付けました。実際に、私自身も「はる風ふわり」が農業試験研究センターで番号で呼ばれていた頃から知っています。また、生育状況確認のため原料の買い付けを行う原料部が圃場を見に行く時も同行しましたし、実際、商品開発して、商品をどうPRしていくかを営業部門に説明することも私の役割です。そのためにレシピ集も作りました。そして、商品がスーパーさんに並ぶまで見届け、その売り上げや評価を農家さんへフィードバックをする役割も担っています。

Q・まさに、一(はじめ)から了(おわり)までですね。鐘ヶ江さんは部署を越えたご活躍をされていますね。
A・もともと家が農家で、入社当時は肥料課に所属していたんですよ。そこから開発、品質保証、と異動になりました。だから、通勤途中に「小麦が、順調に育っているかな」とついつい、畑で生育状況をチェックしたりしています(笑)。自分自身は小麦の栽培から加工したものの評価まで経験がありますので、農家さんももちろん、いろんな部署、また佐賀県やJAさがの関係者さんに自信を持って意見を言うことができるのが強みだと思っています。

Q・頼もしいですね。今後の『九州佐賀産こむぎ子』の展開について教えてください。
A・7月から県内先行販売中ですが、10月から全国展開する予定です。毎週金曜日には地元の情報番組「カチカチPress」内でCMも公開中です。またリクエストの多いレシピについては、今のところブログで少しずつ発信中ですので、ぜひご覧になってください。今後は家庭用だけじゃなく、お菓子やパンを提供するようなカフェ系のお店など業務用の展開も考えています。佐賀県、JAさが、『理研農産化工』がタッグを組んで、世に出す安心&安全でおいしい「純佐賀県産の小麦粉シリーズ」、“佐賀県産100%”の『九州佐賀産こむぎ子』をぜひ、よろしくお願いします!


こむぎ子こむぎ子
こむぎ子こむぎ子
どんな料理にも自由自在に使える『九州佐賀産こむぎ子』。ありそうでなかった“佐賀県産100%”の安心&安全の新商品に期待は大きく膨らむ。右下はレギュラー商品

ミックス1ミックス2
ミックス3ミックス4
大人気のミックス粉、「カステイラミックス」「究極のパンミックス」に今夏、「あまおうホットケーキミックス」が仲間入り!家で手軽にカフェ気分が味わえる

開発1開発2
開発3開発4
4人の研究者たちが活躍中の「食品開発センター」。粉の絶妙な配分と向き合う毎日だ。食感、焼き色、揚げ色を何度もチェック、何度も試験を繰り返し、ここから新商品が生まれていく

開発センター新工場
10月から本格稼働予定の新工場(右)。おなじみ、外国人シェフがニッコリ笑う看板が『理研農産化工』のトレードマークだ

外観1外観2
工場内敷地内の貯蔵庫にある小麦の量はなんと1万1300トン!巨大さに圧倒される

>>「理研農産化工」の商品はこちらからご購入いただけます。

取材:森泉敦子

  


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2018年04月01日

「理研農産化工株式会社」食品開発チーム

「理研農産化工株式会社」食品開発チーム
理研農産化工株式会社
食品開発チーム
木原裕美子さん(左)、陣内陽子さん(中央)、田中晴美さん(右)

手軽なのに本格派!「houcook」新登場
九州産小麦粉によるミックス粉が進化!

 九州産小麦粉を使った、安心&安全の商品を提供し続けている『理研農産』さん。昨年100周年を迎え、さらなる飛躍を見せている。その一つが新商品の開発だ。現状では業務用7~8割、家庭用2~3割の割合で生産を行っているが、近年の健康志向ブームにおいてエンドユーザーの需要も高まり、家庭用商品が増えつつある。そして今年4月、新しいプレミックスブランド『houcook』が新登場!手軽なのに本格派、今の時代にピッタリマッチしたミックス粉をつくりあげた、食品開発チームの3人にお話を伺った。


Q・最近では、佐賀市内のスーパーで『理研農産』さんのミックス粉が良く見られるようになりましたね。どのように食品開発を行っているのですか?

陣内:現在、「食品開発センター」では私たち現場部隊3人と全体を見るアドバイザー、部長、と5人体制で食品開発に携わっています。新商品開発の企画はケースによりますが、今回のプレミックス(ミックス粉)ブランド『houcook』は私たち、女性目線から見て「あったらいいな」からスタートしたプロジェクト。昨年4月に始めて、商品化までちょうど1年かかりました。

田中:『理研農産』で食品を開発するにあたって、絶対にブレない点は“安心&安全”。極力、国産、九州産、そして佐賀産小麦粉を使った品質の高さです。私たちの役割はそのベースとなる小麦粉にでんぷんや糖類、油脂などを微調整しながら加え、ユーザーさんのニーズに沿ったミックス粉をつくること。何よりも配合が一番大切になってきます。

陣内:毎日毎日、配合、試作を何百回と繰り返すんですよ。配合も大事ですが、焼き色や揚げ色のチェックも日々行っています。何といっても美味しくないと意味がありませんから、営業さんや他部署の方も巻き込んで、常に仕事中は食べていますね(笑)。

木原:私は開発部に配属する前は、品質保証部で11年間、データ解析を行っていました。品質保証部との連携もとても大切になってきますね。今回も常に情報交換を行いながら、『houcook』ブランドをつくりあげました。

Q・忙しいお母さんでも、お子さんと一緒にお菓子がつくれる『houcook』ブランド。手軽さと本格志向が特長とのことですね?

陣内:子どもたちに手作りのお菓子をつくってあげたいけど、時間がないというお母さんが多いと思うんです。今回の開発にあたっては、いかに“家庭におとしこむか”がポイントでした。九州産小麦粉を使っての安心&安全の提供は当たり前、そして今求められているものとは…?と考えた時にやはり「時短」だったんです。もちろん美味しさは前提です。

田中:そのためには配合を考えるだけではなく、レシピ開発も同じく重要です。最終的にはパッケージにイラスト付きの簡単レシピを載せるのですが、それまでさまざまな素材と組み合わせて、いかに手軽に本格的な味が出せるかを追求していきました。

木原:今回はみんなで話し合いながら、ブランドの核となる3つの商品をつくりました。配合やレシピが決まるまで半年、そしてパッケージ、ネーミングづくり、量や価格の決定などの商品化に向けて半年間かけています。

Q・それぞれの商品を開発する際、苦労した点などエピソードを教えてください。

木原:ずっと新商品開発に根を詰めるのではなく、通常の仕事と併用しながら携わっていたので、バランスはとれていたと思います。また、常に周りに人がいるので意見が聞きやすく、煮詰まるということはなかったですね。私が担当した商品は『まぜるだけのケーキミックス』でしたが、とにかく着地点を“わかりやすく、簡単に楽にできる”に定めて、配合を行って行きました。

陣内:この『まぜるだけのケーキミックス』はスゴいんですよ。バターもいらないし、卵とサラダ油と水だけ。しかもハンドミキサーいらずで泡立て不要、焼くまで5分でできちゃうんです。私は商品開発で煮詰まった時、木原さんの試作を良く食べて癒されていました(笑)。

木原:わざわざ買い物にいかなくても家にある材料でできるケーキです。200g使い切りで15cmのワンホール分なんですが、カップケーキにしてもいいんですよ。ヘラで材料を混ぜるだけで、小さなお子さんでも簡単にケーキができるところがポイントです。チョコチップやバナナなど入れるのもオススメです。

陣内:私は『朝の焼きたて ころっともちパン』を担当しました。苦労したのは、どこまで“モチッと感”を出すかということ。人によって、“モチッと感”の好みは違うし、一体モチッととはなんなのか、どのモチッとを目指すのか、納得いくまでとことんみんなで試食して、数種類のでんぷんを何度も何度も微調整して配合し、“モチッと感”という食感の落としどころを探りました。

田中:『朝の焼きたて ころっともちパン』は試作で良く食べましたね(笑)。レシピ開発にあたっても、ひじきを入れたら意外に合ったり、ゴマやチーズ、ベーコンなど、いろいろ冒険にお付き合いしました。食べ応えもあって、まさに朝食にピッタリだと思います。
私は『朝の焼きたて スコーンミックス』を担当しました。スコーンというと、どうしてもハードルが高いイメージがあります。そこを払拭できる商品に仕上げられるよう、簡単で分かりやすいレシピ作りに徹しました。一旦、配合が決まった後、佐賀女子短期大学の学生さんに試作モニターをお願いしたんです。その時、レシピはできておらず、文字のみの工程情報だけお渡ししました。試作を見ると、自分が思い描いたイメージと違っていたんです。大きさや火通り、そして食感…スコーンというと、コーヒーに合うような小ぶりでサックリとした食感をイメージしていたのですが、モサモサでパサパサの食感という試食の感想でした。これはまだまだ改良が必要だと思い、レシピ開発の重要性、イラストでイメージを伝えることの大切さも改めて感じましたね。

Q・そして満を持して、4月から佐賀市内のスーパーの店頭に『houcook』が並びます。『さがファン』でももちろん販売です!

陣内:今回、新商品開発にあたっては幼稚園生である娘と一緒に『朝の焼きたて ころっともちパン』を実際に作ったのですが、大きな力になりました。こんな小さな子でもできて、しかも美味しい。働く忙しいお母さんにとって、自信を持ってオススメできます!パン用ミックス粉『サクサクトーストミックス』『モチモチトーストミックス』に代表される『理研農産』のミックス粉においては、地元のママ友から直接声をいただくことも多く、「転勤しても買いたい!」と言っていただいた時は嬉しいですね。やっぱり、エンドユーザーの方の生の声を聞くと、仕事のモチベーションも上がります。

木原:こうやって1年間かけて新商品をつくってみて、とても楽しかったですね。自分たちがつくった商品が実際にお店に並んでいるのを見ると、純粋に嬉しいです。また、夏休みに開催される「親子パン教室」でエンドユーザーさんと直接交流できることも、商品づくりの刺激になっています。親子はもちろん、お菓子好きの方に『まぜるだけのケーキミックス』でお菓子づくりを気軽に楽しんでいただきたいですね。

田中:来る日も来る日も、何百回も配合、改良を繰り返し、商品づくりは時には壁にぶち当たることもあります。その苦労があった上で、世に商品として出ることができる。しかも手にとったお客様が美味しい、と食べてくれる…食品、商品の開発はとてもやりがいのある仕事です。コーヒーや紅茶にピッタリな『朝の焼きたて スコーンミックス』、家でカフェ気分をぜひ味わってください。



看板工場1
おなじみ、外国人シェフがニッコリ笑う大看板は大阪、東京にも進出中!

工場2工場3
大きな工場内敷地の中にある、「食品開発センター」。小麦の貯蔵庫の量はなんと1万1300トン!巨大さに圧倒

九州シリーズ1九州シリーズ2
九州シリーズ1九州シリーズ2
人気の『パン用ミックス粉』に、一番の売れ筋で便利なチャックが新たについた『九州薄力小麦粉』、国産のあごを入れた『九州産お好み焼き粉』『理研農産』ならではのオリジナル。使い切りタイプの『houcook』は、ミックス粉に混ぜる食材をさまざま試して、アレンジも楽しめる

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地元のスーパーとタッグを組んだ「親子パン教室」をはじめ、イベントにも積極的に出店。インスタグラムでは「♯九州産小麦」「♯安心安全」のハッシュタグから『理研農産』の商品に出合うことも

開発1開発2
開発3開発4
開発3開発4
5人の研究者たちが活躍中の「食品開発センター」。粉の絶妙な配分と向き合う毎日だ。センター内では焼き色を見る業務用の鉄板と家庭で調理することを想定してのガスコンロ、2つを使用している

開発5開発6
センター内にはいい匂いが…。他社の商品と比較しての唐揚げ、天ぷらの揚げ比べはしょっちゅうのことだそう。食感、焼き色、揚げ色を何度もチェック

>> 理研農産化工の商品はこちらからご購入いただけます。

取材:森泉敦子

  


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2016年12月28日

「理研農産化工株式会社」 橋本 和久さん


理研農産化工株式会社
取締役管理本部
副本部長
橋本 和久さん

100周年を迎えた老舗による挑戦
社員一丸となり九州から全国へ

 今年100周年を迎えた『理研農産』さん。製油&製粉を一挙に引き受ける、日本でも2社しかない企業の一社だ。この10年で家庭用商品の開発・販売に取り組み、『さがファン』でもその動きを当時から追い続け、変遷をここでお伝えしてきた。製粉業界での常識は小麦の約9割が輸入だが、国産という枠を超え"九州産"に特化して原料を追求。北海道に次ぎ全国第二位の麦生産高を誇る佐賀県を代表し、九州産の小麦「ニシノカオリ」「チクゴイズミ」を100%使った商品『九州シリーズ』を独自に展開している。時代は空前の健康ブーム。国産・九州産の原料に視線が集まる今、新たな時代に懸ける老舗の思いを伺った。

Q・今年の100周年イヤーには、商品もリニューアルが続くそうですね。
A・特にこの2年間では、大手チェーンスーパーの買収など物流をとりまく世界が大きく変わりました。それに合わせ、既存の家庭用商品もリニューアルという形での変化が必要だったんです。そこでまず当社がずっと力を入れてきた、佐賀産小麦を100%使った手延べうどん『ほとめく』をリニューアル。個食のニーズを意識して100g縛りを50gとし、パッケージも手にとりやすいよう、スリム化しました。

Q・(試食)通常のうどんより細いんですね。モチモチとした食感ですが、のどごしはスッキリ!どちらかというとそうめんのような。
A・製造業者も長崎・島原の会社に変え、島原そうめんの技法を生かしたうどんづくりに シフトチェンジしました。目指すは高級品として知られる、長崎・五島うどんのようなクオリティー。当社の看板商品であるプレミアムオイル『こだわり原料 国産大豆油』と共にギフトセットとしても販売し始め、これがなかなか好評なんですよ。

Q・『理研農産』さんといえば九州産にこだわった商品が特長ですが、エンドユーザーの反応はいかがでしょう?
A・この2年は、国産、九州産の反応がとても良いですね。国内ではパンにいたっては99%が外国産の小麦を使用していますが、当社の九州産シリーズ『蒸しパンミックス』は前年より、売上が上がっています。他のミックス粉より金額は高いですが、それだけ消費者が国産商品の安全性を意識し始めたということでしょう。当社の一番の売れ筋は『九州薄力小麦粉』で、500gと1kgの商品があります。これもまたニーズに対応し、近々より手軽に使用できるよう、500gの商品のパッケージを変えてチャック付きにする予定です。

Q・理研さんの軸となる『九州産シリーズ』がどんどん全国に広まっているんですね。
A・以前に比べ、大分広まりましたね。空前の健康ブームという理由もあり、ヘルシーで美味しく、安全な食を求めて我々の商品を、多くの方から購入していただくようになりました。ずっと『理研農産』がこだわってきたことが、ようやく全国に広まりつつあります。最近では今まで国産にあまりこだわらない傾向にあった大手製粉会社が、インバウンドの影響もあり国産原料の商品づくりに力を入れ始めました。ですから、我々が以前から九州産にこだわってきたとしても、新たな対策がこれから必要です。『ホットケーキミックス』は来年、分包タイプの新商品を出すことが決まっていて、一人でもホットケーキやお菓子づくりが楽しめるようになりますよ。

Q・粉、といえば大容量が常識で一人暮らしの人には持て余し気味なところが正直あったので嬉しいですね。用途に合わせたミックス粉の動きはどうでしょう?
A・まさに群雄割拠ですね。ミックス粉が登場したのもここ10年ぐらいのことで、未だに田舎の方に行くとミックス粉は売れないんです。昔は薄力粉で何でも作っていましたからね。我々は「原料の小麦粉は100%九州産」とパッケージに緑色のマークをつけて差別化をはかってきましたが、最近ではから揚げ粉やたこ焼き粉は有名店とコラボしたミックス粉や液体の手軽な商品が台頭してきました。ここに消費者は国産・九州産を求めていないと踏んで、今、配合の見直しやデザイン変更など、他商品とのバランスを考えて商品のリニューアルを考案中です。

Q・今年、いよいよ100周年ですね。大きな節目の年となるのでしょうか。
A・地元・佐賀に貢献したいという企業理念のもと、商品づくりを行っていく姿勢は変わりません。現在、製粉も製油も業務用7~8割、家庭用2~3割の割合で生産しています。利益だけ追求するなら業務用に特化した方が良いですが、国内には大手製粉会社、製油会社がひしめき合っている状況です。大手企業と差別化をはかるためにも、地方の企業は独自のカラーを出していかなければなりません。私たちの場合は、九州で生まれ育った農産物やそれに携わる人々を応援したい、九州の農産物を消費者の方へお届けするきっかけを作る手助けをしたいという想いから、原料を九州産にこだわること、地産池消を積極的に提唱することなんですね。地方の企業においては、どこに価値を置くか、というところは非常に大切になってくると思っています。

Q・老舗の新たなるチャレンジ、どのような変革が予定されているのでしょう。
A・今年、『理研農産』は大変革を実行します。これまでは製粉=佐賀工場、製油=福岡工場といった位置づけで、ほぼ別会社といっても良かったのが事実です。今まで製粉部、油脂部等と営業部門も粉と油に分けていたのですが、組織を一変し、第一営業部、第二営業部と営業統括します。それにより、粉を売っていた営業担当が油も手がけるようになり、よりお客様に提案しやすくなるというメリットと当社ならではの強みを出していきます。
当然、社員たちも新たな知識習得が必要になってきますが、可能性もさらに広がっていきます。社員同士の交流も増えることでモチベーションの向上も期待できますね。また、福岡工場では5,000坪の土地に新しい倉庫を建設、佐賀工場では築70年の製粉工場を一新、新製粉工場を建設します。製油と製粉、福岡と佐賀が一緒になり、次の100年に向けて社員が一丸となる時がまさに今年。新たなるスタート地点に立ち、攻めの一手で元気な会社を目指していきます!



看板工場1
おなじみ、外国人シェフがニッコリ笑う大看板は大阪、東京にも進出中!

工場2工場3
小麦の貯蔵庫の量はなんと1万1300トン!巨大さに圧倒。

九州シリーズ1九州シリーズ2
『九州シリーズ』はパッケージに「原料の小麦粉は100%九州産」と緑色のマークがついているので、ぜひスーパーで探してほしい。

ほとめくほとめく2
佐賀県産小麦を100%使った、佐賀麦手延べうどん『ほとめく』。ギフトにピッタリな商品だ。「ほとめく」とは佐賀地方の方言で他人にごちそうしてもてなす、という意味。

開発1開発2
開発3開発4
工場隣接の「食品開発センター」では7人の研究者たちが活躍中。粉の絶妙な配分と向き合う毎日だ。ここから『理研農産』の商品たちが生まれていく。

開発5開発6
センター内にはいい匂いが…。他社の商品と比較しての唐揚げ、天ぷらの揚げ比べはしょっちゅうのことだそう。

>> 理研農産化工の商品はこちらからご購入いただけます。

取材:森泉敦子

  


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